抄録
20歳女性の下腿にみられたM.chelonae subsp. abscessusによる難治性潰瘍を報告した.水族館勤務中にカワウソにより左下腿に咬傷をうけ消毒,抗生剤内服による治療をうけるが歯痕より皮疹は拡大し難治性潰瘍を形成.免疫不全,ステロイド投与などの既往はない.抗酸菌培養にてM. chelonae subsp.abscessus検出.抗結核剤,ミノサイクリンによる感受性検査では耐性を示したがミノサイクリン投与により潰瘍は著明に縮小し上皮化した.M. chelonae感染症は比較的希な疾患であるが,難治性外傷性潰瘍を見た場合考慮すべきものと考えられた.