日本皮膚科学会雑誌
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口唇有棘細胞癌18例における臨床病理学的検討
小関 伸安齋 眞一近藤 慈夫橋本 秀樹麻生 和雄
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1994 年 104 巻 7 号 p. 869-

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抄録

1976年10月山形大学医学部附属病院の開院から1993年2月の約16年間に山形大学で経験した口唇有棘細胞癌18例につき,同時期に経験した口唇以外の有棘細胞癌47例と,臨床像,病理組織,治療,予後において比較検討し,統計的観察を行った.部位別では全有棘細胞癌中,口唇は最多の27.7%を占めた.初診時平均年齢と発病より初診までの期間は両者で差は見られなかった.また前駆病変としては,口唇有棘細胞癌では熱傷瘢痕,外傷性瘢痕は見られず,日光性口唇炎が3例で見られた.臨床分類では口唇有棘細胞癌は乳頭状癌,口唇以外の有棘細胞癌では乳頭状潰瘍癌が多く,また病期分類,組織分類上は両者の間に差異は認められなかった.口唇有棘細胞癌18例中,Abbe flap法を5例に試みたが美容的機能的に優れ,かつ手技も簡単であり有用な手術法と考えられた.初診後,口唇有棘細胞癌では腫瘍死は1例と良好は経過をたどっている.

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© 1994 日本皮膚科学会
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