日本皮膚科学会雑誌
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右足に限局して多発したLymphocytoma(plasma cell type)の1例―限局型皮膚形質細胞増多症との異同についての考察を含めて―
成瀬 知恵子古賀 道之
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1994 年 104 巻 8 号 p. 989-

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抄録

15歳女子.12歳頃より,右足底から内側縁にかけて,半米粒大までの淡紅色,表面光沢ある丘疹が多発,漸増.自覚症状はない.組織では,真皮上層に,一部で小円形細胞を混じた形質細胞の増殖を見るが,濾胞様構造は認めず.増殖した形質細胞巣には酵素抗体法で,IgG,IgM,IgA,χ鎖,λ鎖陽性細胞が混在して認められ,多クローン性の増殖であった.基礎疾患がなく,また腫瘍性の増殖とは異なる形質細胞増殖を示す例は,皮膚形質細胞増多症という概念のもとに報告されている.過去の報告は,大部分が全身皮膚に多発する汎発型であるが,前額に単発した限局型の報告が1例あり,自験例もこれに類する症例と思われる.しかしながら,形質細胞増多症の限局型はLymphocytomaのplasma cell typeにほかならないと考えられ,限局型をおいた新田らの分類は用いず,特異な臨床像を示したplasma cell typeのLymphocytomaとして報告した.

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© 1994 日本皮膚科学会
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