難治性ウイルス性疣贅88例(尋常性疣贅58例,足底疣贅30例)および19例の扁平疣贅に対し,Dinitrochlorobenzene(DNCB)またはDiphenylcyclopropenone(DPCP)によるcontact immunotherapy(CT)を施行し,その有効性を検討した.結果は,尋常性疣贅で72.4%(DNCB;71.4%,DPCP;73.9%),足底疣贅で43.3%(DNCB;52.9%,DPCP;30.8%),扁平疣贅で57.9%(DNCB;60%,DPCP;50%),全体で61.7%(DNCB;64.2%,DPCP;57.5%)と難治性ウイルス性疣贅の治療法としては満足のゆく治癒率を得た.重大な副作用はなく,従来の液体窒素冷凍凝固術やブレオマイシン局注療法に比べ疼痛もなく,今後積極的に試みるべき治療と考えた.また,扁平疣贅では19例中6例(31.6%)が感作のみで治癒し,全体でも90%が5ヵ月以内と他疣贅に比し短時間に治癒した.これはCIの有効性がウイルス性疣贅の病型に関連することを示唆する.また,CI施行中の細胞性免疫の動態を検討したところ,PHA,Con-Aによるリンパ球幼若化反応は治療前に比較し,軽快時,略治時で高値を示し,特にPHAにおいては治療前と軽快時との間に有意差を認めた.一方,OKT4,OKT4/8比は治療前に比べ略治時でやや高値を,OKT8でやや低値を示す傾向を認めるものの,有意差は認めず,治療経過中に2回以上検査を施行しえた5例についても一定の傾向はなかった.
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