抄録
電子機器の発展に伴い,これまで視診で行われてきた皮膚反応や皮疹の程度の評価を皮膚色定量用機器で行った報告が増加している.皮膚色のデータ解釈をより正確に行うため,皮膚色の部位差と身近な要因が皮膚色に与える変化をコンピュータを接続したビデオマイクロスコープで定量した.その結果,皮膚の“赤み”の程度を皮膚の吸光率を用いた指数(紅斑指数)で与える方法では,被検部位の色素沈着が強いほどこの値は過大評価された.また同一部位の経時計測では,紅斑指数は午後に強くなる傾向があった.食後20分で有意な紅斑指数の上昇がみられたが,軽度の運動や喫煙では一定した皮膚色変化を認めなかった.前腕の皮膚色は短時間の肢位変化でも影響され,紅斑指数のみならず,“黒さ”の程度いわゆるメラニン指数も有意に変化した.以上の結果から,皮膚色定量を機器によって行う際の問題点を提示すると共に,その回避法についても考察した.