日本皮膚科学会雑誌
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105 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 梅林 芳弘, 大塚 藤男
    1995 年 105 巻 1 号 p. 7-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
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    外変量解析の一手法である数量化理論Ⅰ類を用いて,悪性黒色腫の患者18例の予後因子の重要性の解析と生存期間の予測を試みた.18例の内訳は腫瘍死した14例と,9年(108ヵ月)以上の生存群4例である.解析した因子は,性,年齢,病型,level,thickness,所属リンパ節転移の有無,および顕微蛍光側光法により測定した細胞核DNA量の7項目である.生存月数の対数を目的とする変量(外的基準)とした場合,理論値と観測値の一致は,重相関係数0.911と良好であった.このモデルで,上記の7項目中予後に寄与するところが最も大きかったのは細胞核DNA量であり,所属リンパ節転移の有無がそれに次いだ.
  • 田端 英之, 原 典昭, 藤沢 崇行, 山崎 雙次
    1995 年 105 巻 1 号 p. 13-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    手指,足趾尖部の難治性潰瘍のため,切断術を施行した全身性強皮症(PSS)患者の指趾尖部微小血管を電顕的に観察し,他疾患の切除の際に採取した同部の健常皮膚組織をコントロール群として,両者を数的指標を用いて客観的に比較検討した.PSS患者では,①内皮細胞の肥厚,②内皮細胞の内腔への突出,内皮細胞壁の鋸子状突出などの血管内腔の不整,③基底板の肥厚,多層化などの所見を認めた.しかし,従来報告されていた血管内腔の狭小化は明瞭ではなかった.以上より,重症指趾尖部潰瘍を生じたPSS患者の指尖部微小血管の著明な形態学的変化が明らかとなった.
  • 松原 勝利, 前田 学, 北島 康雄, 森 俊二
    1995 年 105 巻 1 号 p. 21-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    全身性強皮症(以下SSc)の臨床経過と予後を調査する目的で最近5年間(1987~1991年度)に岐阜県下で認定された特定疾患強皮症診断書に基づいた統計解析を行った.各臨床症状の消失率と出現率は1987年度および1991年度の所見を比較して算出した.予後調査は,各年度ごとの未更新患者およびその主治医に未更新理由を問う調査書を送付し,返送された調査書を解析した.生存率は性別,皮膚硬化の範囲別,初発年齢別に生命表を作成して比較した.Raynaud症状,全身色素沈着,消化器症状の出現率は各々4.9%,6.9%,17.5%,消失率は各々0%,18.6%,8.2%であった.調査中の死亡者は14例でその内8例はSScに関連していると推定され,心不全(5例),呼吸不全,腎不全,くも膜下出血(各1例)で死亡した.SSc患者全体での5年生存率は89.7%で男性は女性と比べて有意に予後が悪かった.また,Barnett(以下Bと略)Ⅲ型はBⅡ型,BⅠ型と比べて有意に予後が悪かった.初発年齢が45歳以上の患者はそれ未満の患者に比べて有意に予後が悪かった.以上より男性,初発年齢が45歳以上およびBⅢ型の3項目はSScの予後不良因子として重要であるといえよう.
  • 尾見 徳弥, 辻井 厚子, 川並 汪一, 松田 潔, 邊見 弘
    1995 年 105 巻 1 号 p. 31-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    われわれは,熱傷創の治療のため,cadavarから採取されたallograft皮膚片を凍結保存しておき,必要に応じて解凍してautograft皮膚片とともに移植した.移植後allograft移植片が示す組織学的な変化を知る目的で,移植部を経時的に生検して免疫酵素抗体法(増殖細胞核抗原,Factor VIII関連抗原,ケラチン)にて検索した.その結果,凍結allograft皮膚片の表皮成分は容易に剥離し,その真皮成分はrecipient由来の表皮細胞で被覆される(サンドイッチ現象)事実を示した.同真皮は,移植2週目でrecipient側の毛細血管と線維芽細胞の侵入を見始め,4週目までにrecipientに起源をもつ肉芽組織により置換され同質化した.この部位は周囲組織とは臨床的にも組織学的にも区別できた.以上より,凍結allograft真皮はrecipient自身の隣接する健常表皮内ないしautograft由来の表皮の再生のための格好のマトリックスを提供し,かつautograft皮膚片と比べ遜色ない器質化を促進する可能性が示唆された.
  • 白井 志郎, 滝脇 弘嗣, 宇都宮 正裕
    1995 年 105 巻 1 号 p. 43-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
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    電子機器の発展に伴い,これまで視診で行われてきた皮膚反応や皮疹の程度の評価を皮膚色定量用機器で行った報告が増加している.皮膚色のデータ解釈をより正確に行うため,皮膚色の部位差と身近な要因が皮膚色に与える変化をコンピュータを接続したビデオマイクロスコープで定量した.その結果,皮膚の“赤み”の程度を皮膚の吸光率を用いた指数(紅斑指数)で与える方法では,被検部位の色素沈着が強いほどこの値は過大評価された.また同一部位の経時計測では,紅斑指数は午後に強くなる傾向があった.食後20分で有意な紅斑指数の上昇がみられたが,軽度の運動や喫煙では一定した皮膚色変化を認めなかった.前腕の皮膚色は短時間の肢位変化でも影響され,紅斑指数のみならず,“黒さ”の程度いわゆるメラニン指数も有意に変化した.以上の結果から,皮膚色定量を機器によって行う際の問題点を提示すると共に,その回避法についても考察した.
  • 服部 尚子, 松川 中, 紫芝 敬子
    1995 年 105 巻 1 号 p. 51-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
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    両上腕の皮下に結節を伴う紅斑にて発症し,組織学的にcytophagiaの像を呈したlupus eythematosus profundus(LEP)の50歳女性例を報告した.自験例は,基底層の液状変性,真皮内のムチン沈着,抗DNA抗体陽性,lupus band test陽性により,LEPと診断した.cytophagiaは,LEPにおいても生じうる組織学的所見であると考えた.
  • 1995 年 105 巻 1 号 p. 57-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
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