日本皮膚科学会雑誌
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多彩な皮疹を生じたQ熱の1例
松本 博子安西 秀美井出 瑛子杉浦 丹長岡 宏美杉枝 正明
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1997 年 107 巻 14 号 p. 1867-

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抄録

発熱を伴い多彩な皮疹を生じたQ熱の29歳女性例を報告した.38~40度の発熱とともに前額部・前胸部・背部に小膿疱が多発し,右腰臀部に血疱化した紅斑局面が帯状に配列.肛囲に小豆大うちぬき状潰瘍2コ,両足背に軽度浸潤をふれる不整形紅斑が散在し,両踵部に手掌大の水疱を認めた.アシクロビル,ペニシリン無効でミノサイクリンが奏効した.PCR法で有熱期血清中にCoxiella burneliのhtpB遺伝子に特異的なDNA断片(325bp)が確認されたが2週後の血清中では陰性であり,Q熱による皮疹と考えた.家族,飼い犬,猫の血清は陰性で感染経路は不明である.海外でのQ熱は異型肺炎などの原因微生物としてよく知られているが,皮疹を呈すること自体比較的少なく,このように多彩な個疹を併発した報告はない.また,本邦では最近,不明熱やインフルエンザ様症状の患者からQ熱の病原体が検出されているが,皮疹から診断に至った報告はない.今後,Q熱が広く知られることにより報告も増えると予想され,その疫学,病原体,症状,検査法,治療につきが概説した.

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© 1997 日本皮膚科学会
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