日本皮膚科学会雑誌
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Nodular cutaneous lupus mucinosis様病変と脂肪織炎を認めた皮膚筋炎の1例
辰野 優子橋爪 鈴男小原 理村上 富美子窪田 泰夫柿本 伸一渡辺 卓溝口 昌子
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1997 年 107 巻 3 号 p. 449-

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抄録

61歳,男.初診時に上眼瞼の浮腫性紅斑とゴットロン徴候,肘部・手背関節部の角化性紅斑と多発性の小潰瘍を認め,筋症状の明らかでない皮膚筋炎と診断した.1年後,近位筋の筋力低下がみられたが,血清CPKやアルドラーゼは上昇しなかった.同時期より,体幹部に多発性の皮下硬結とatrophie blanche様病変を伴った敷石状丘疹が出現してきた.組織学的に皮下硬結は膜嚢胞性病変(那須)を伴う脂肪織炎であった.また,敷石状丘疹は真皮にムチンの沈着があり,臨床と組織ともにnodular cutaneous lupus mucinosis(NCLM)に類似していた.NCLMはlupus erythematosusの特異疹とされているが,自験例は他にエリテマトーデスを思わせる所見がなく,皮膚筋炎にもNCLM様病変が生じる可能性が示唆された.また,自験例は,筋MRI検査で筋炎の所見がみられ,ステロイド内服治療後には臨床所見と平行してMRIの所見も改善した.筋原性酵素の上昇のみられない皮膚筋炎において,筋炎の診断や治療の評価に筋MRI検査は有用と思われた.

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© 1997 日本皮膚科学会
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