中等症以上(PASIスコア12.0以上)の尋常性乾癬で,吉草酸ベタメサゾン軟膏と2%サリチル酸ワセリンの等量混合外用剤に難治であった症例に対し,1群:外用PUVA単独療法(11例),2群:etretinate低用量療法(11例),及び3群:外用PUVA兼etretinate低用量療法(12例)をそれぞれ16週間施行し,その臨床効果をPASIスコアを用いて比較検討した.それらの治療方法は,1群では初回照射線量1.0J/cm2より外用PUVAを開始し,週に一度0.2J/cm2ずつ増量して計16回照射(総照射量:40J/cm2)し,2群ではetretinateを0.4mg/kg/dayを連日投与した.また3群ではetretinateを0.4mg/kg/dayを連日投与し,8週間目から外用PUVAを初回照射線量1.0J/cm2で併用し,週に一度0.2J/cm2ずつ増量して計8回照射(総照射量:13.6J/cm2)とした.その結果,1群では,PASIスコアは平均28.327から9.673と減少し,2群では,平均25.691から5.618と減少した.また3群では,平均26.517から3.408と減少し,2群及び3群はそれぞれ1群に比し,また3群は2群に比しても有意に著効を示した.またetretinateの低用量内服療法施行例における副作用は,23例中7例(30.43%)に口唇炎が認められたのみであった.以上より,etretinateの低用量内服療法は口唇炎という副作用は認められるものの,乾癬患者の治療において非常に有用であると思われる.従ってetretinate低用量内服兼外用PUVA療法はetretinateの投与量を少なくするのみではなく,少ない照射量のUVAで更に高い効果をあげることより,今後更に推奨されるべき治療方法と思われる.
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