日本皮膚科学会雑誌
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ヒト悪性黒色腫細胞のハイパーサーミアあるいはサイトカインによるICAM-TL発現と可溶性ICAM-1放出の変動に関する研究
管 暁春中山 樹一郎中島 学影下 登志郎辻崎 正幸今井 浩三堀 嘉昭
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1997 年 107 巻 6 号 p. 747-

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抄録

ヒト悪性黒色腫細胞株のin vitro ハイパーサーミアによる細胞接着分子1(intercellular adhesion molecule-1,ICAM-1)の発現と可溶性ICAM-1の放出をフローサイトメトリーおよびELISAにより検討した.同時にサイトカインによる上記変化を比較検討した.ハイパーサーミア実験では培養液中に放出される可溶性ICAM-1と細胞内ICAM-1は41℃,6時間まで37℃のコントロールと差がほとんどなく,43℃,3時間で両ICAM-1の和がコントロールに比べ8~33%増加した.43℃,6時間では細胞内ICAM-1は減少し一方で可溶性ICAM-1の著しい放出がみられた.フローサイトメトリーによる分析では43℃,6時間のハイパーサーミアで膜のICAM-1発現の明らかな減少がみられた.この温度条件下での細胞のviabilityはハイパーサーミア直後では95%以上がviableであった.10~100u/mlのγインタフェロン,腫瘍壊死因子α添加24時間後では上記両ICAM-1ともに濃度依存症に増加した.細胞株によっては腫瘍壊死因子α添加により可溶性ICAM-1の増加が著明にみられ,ハイパーサーミア実験による増加の約10倍であった.フローサイトメトリーによる分析ではそれぞれのサイトカインにより膜のICAM-1発現の濃度依存性の増加がみられた.以上よりハイパーサーミアとサイトカインによるヒト悪性黒色腫細胞のICAM-1発現あるいは可溶性ICAM-1のsheddingの変動は異なる機序が考えられ,実際的な臨床応用時における in vivoでのICAM-1発現の変動をさらに検討すべきと考えられた.

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© 1997 日本皮膚科学会
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