日本皮膚科学会雑誌
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難治性円形脱毛症106例における臨床検査結果と治療効果
小泉 麻奈中山 秀夫海老原 全
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1998 年 108 巻 13 号 p. 1881-

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抄録
汎発性脱毛症,多発性融合性円形脱毛症などの難治性円形脱毛症(壮年性脱毛症を除く)106例について検査結果,治療成績を集計したので報告する.症例は男性37人,女性69人で,平均年齢26.5歳であった.検査結果では末梢血,肝機能に著変なく,甲状腺機能異常は全例で認めなかった.免疫グロブリンはIgG,M,Aは著変なく,IgEのみ平均279IU/mlと軽度上昇し,抗核抗体は31%に陽性を示した.蓄尿中17ケトステロイド(17KS)低下は20.5%に認められ,X線上,下垂体付近の石灰沈着が24.1%認められた.また組織学的には毛嚢数の減少,萎縮と細胞浸潤が、正常(コントロール)頭皮に比べて有意差があった.浸潤細胞はCD-4,1,HLA-DR陽性細胞が主で,毛嚢消失部にも存在した.治療に関しては,レイソ・スチーマー療法、101J,SADBE,PUVAなどで治療をおこなった結果,平均28.5ヵ月の観察期間で有効率60.8%であり,全治,略治は11例(14.8%)であった.治療が奏功した症例と無効であった症例について,その関連因子を統計学的に検討したところ,悪化してからの年数と皮脂量で両者に有意差を認めた.
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© 1998 日本皮膚科学会
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