1998 年 108 巻 2 号 p. 109-
17歳5ヵ月,男性,反応性アミロイドーシスを合併した劣性栄養障害型表皮水疱症の1例を経験した.外来にて経過観察中,全身倦怠感・食思不振・浮腫・腹痛・下痢などの臨床症状に加え,腎不全(BUN55mg/dl,Cr2.22mg/dl)を示したため入院となった.急速進行性腎炎と考え,ステロイドバルス療法や血漿交換療法に加え,血液透析が導入されたにもかかわらず,消化管出血やMRSA感染による敗血症を合併し,DICのため死亡した.剖検を実施し,消化管,腎臓,リンパ節,脾臓にアミロイドの沈着を認めた.本邦の医療機関にMRSA感染が蔓延している現状では,今後,本症に反応性アミロイドーシスを合併する症例が増加してくる可能性がある.早急にその実態を解明するとともにMRSA感染の予防対策をたてる必要があろう.