1999 年 109 巻 6 号 p. 885-
横浜市立大学医学部付属病院において1995から1998年に経験したGVHD12例の皮疹部組織におけるTNF-α,TNF receptor,Fas,Fas ligandの発現を分子生物学的,免疫組織化学的に検討した.まず,reverse transcription polymerase chain reaction(RT-PCR)法を用いて,GVHDの皮疹部組織におけるTNF-α,TNF receptor,Fas,Fas ligandのmRNAの発現を観察したところ,TNF receptor,FaSのmRNA発現は健常皮膚と比較して有意に増強していた.これに対し,TNF-α,Fas ligandは健常皮膚と比較して同程度であった.これらの結果は免疫組織化学的所見と矛盾せず,GVHD皮疹部では,TNF/TNF receptorとFas/Fas ligandを介する系が皮膚GVHDのapoptosis誘導に重要な役割をはたしているものと考えられた.