抄録
症例1は21歳,女性.右側頸部に米粒大淡紅色結節と,結節と連続して皮下に大豆大の結節があり,「雪だるま」状の臨床像を呈した.症例2は73歳,男性.背部に直径25 mm大の淡褐色結節と,中央には米粒大の紫褐色の半球状小結節があり,「乳頭」状の臨床像であった.2例とも切除時,いわゆる“pop out”現象がみられ,組織学的にはほぼ左右対称,境界明瞭な腫瘍塊が存在し,特に症例1は「とっくり」状であった.両例とも腫瘍細胞は胞巣を形成して増殖し,胞巣内にケラチン20陽性のメルケン細胞が多数散在していた.また,共焦点レーザー顕微鏡では細胞質にびまん性にケラチン20の陽性所見が確認された.毛芽腫は組織学的に結節型基底細胞癌との鑑別が問題となるが,結節型基底細胞癌の5症例では全例においてケラチン20陽性細胞を認めなかった.毛芽腫でみられるケラチン20陽性細胞の存在意義について文献的考察を加えて報告する.