日本皮膚科学会雑誌
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111 巻, 13 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
追悼
生涯教育講座
  • 堀尾 武
    原稿種別: 生涯教育講座
    2001 年 111 巻 13 号 p. 1961-1967
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    Potassium iodide was discovered as part of a war effort at the beginning of the 19th century in France. For the manufacture of gunpowder, sodium carbonate was extracted from seaweed ash. During this process, Courtois, a French chemist, discovered iodide in 1811. Potassium iodide was first used as a medicament for the therapy of goiter, which had been treated with seaweed ash. The therapeutic effect was excellent and dramatic. Thereafter, potassium iodide has been tried for a variety of diseases. In dermatology, it is now being used for the treatment of cutaneous deep mycosis and erythematous dermatoses including erythema nodosum, subacute nodular migratory panniculitis, erythema induratum, Sweet’s syndrome, and erythema exsudativum multiforme. The present author has found that potassium iodide works well as a first choice of medication for erythematous disorders. The action mechanism of the drug is still not fully understood.
原著
  • 井上 多恵, 安齋 眞一, 渡邉 佳恵, 米田 耕造, 藤田 幸子, 杉山 俊博, 真鍋 求, 出光 俊郎
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 13 号 p. 1969-1979
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    症例1は21歳,女性.右側頸部に米粒大淡紅色結節と,結節と連続して皮下に大豆大の結節があり,「雪だるま」状の臨床像を呈した.症例2は73歳,男性.背部に直径25 mm大の淡褐色結節と,中央には米粒大の紫褐色の半球状小結節があり,「乳頭」状の臨床像であった.2例とも切除時,いわゆる“pop out”現象がみられ,組織学的にはほぼ左右対称,境界明瞭な腫瘍塊が存在し,特に症例1は「とっくり」状であった.両例とも腫瘍細胞は胞巣を形成して増殖し,胞巣内にケラチン20陽性のメルケン細胞が多数散在していた.また,共焦点レーザー顕微鏡では細胞質にびまん性にケラチン20の陽性所見が確認された.毛芽腫は組織学的に結節型基底細胞癌との鑑別が問題となるが,結節型基底細胞癌の5症例では全例においてケラチン20陽性細胞を認めなかった.毛芽腫でみられるケラチン20陽性細胞の存在意義について文献的考察を加えて報告する.
  • 大塚 幹夫, 山口 亜紀, 古川 裕利, 岸本 和裕, 金子 史男, 岩月 啓氏, 渡辺 隆紀
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 13 号 p. 1981-1988
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    9例の悪性黒色腫患者を対象として当科で行ったラジオアイソトープを用いたsentinel node(SN)biopsyの結果について報告した.四肢原発例は99 mTc Sn colloidを用いることにより,全例シンチグラフィー上で鼠径部付近に2~4個の集積像が認められた.99 mTc rhenium colloidを用いた1例では10個以上の集積が認められた.体幹部原発の2例中1例はSn colloidで腋窩リンパ節に集積がみられたが,1例はSn colloidでは集積が認められず,rhenium colloidを追加で用いることにより腋窩に集積が認められた.また,顔面原発例もSn colloidではリンパ節に集積は認められなかった.術中ガンマプローブを用いてSNを同定し,その後に郭清した症例ではSNの偽陰性はなかった.以上から,Sn colloidは四肢原発例ではSN biopsyの目的に使用可能であるが,リンパ節の抽出個数が多い場合には色素法の併用が必要なこと,また原発部位によりcolloidの種類の使い分けが必要であると考えられた.
  • 北村 浩之, 為政 大幾, 北村 三和, 中竹 伸佳, 速水 誠, 堀尾 武
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 13 号 p. 1989-1996
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    Angiosarcomaは比較的まれな間葉系悪性腫瘍で,その中でも乳房原発の報告は少ない.乳房原発例では腫瘤が小さければ外科的に切除するのみで予後は良好である.しかし,腫瘍径が5 cm以上の場合には,外科的切除後に遠隔転移を生じて予後が不良である.また化学療法の有効例もほとんど報告されていない.われわれは皮膚転移で発見され,肝転移を生じた乳房原発angiosarcomaを経験した.原発巣と皮膚転移巣を切除後に肝転移と新たな皮膚転移が出現したため,イホスファミドを中心とするMAID療法を試みた.皮膚転移は消退し肝転移巣も縮小してMAID療法が有効であった.しかし,最終的には多発性の肺転移で死亡した.
  • 小野澤 望, 田村 敦志, 安部 正敏, 山中 正義, 石川 治
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 13 号 p. 1997-2003
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    膀胱機能障害をきたした全身性エリテマトーデス(SLE)の2例を報告した.症例1は32歳,女,ループス腎炎に対し副腎皮質ステロイド剤を内服加療中に,腹痛,嘔吐,下痢などの消化器症状と頻尿が出現.腹部CTで両側水腎・水尿管症,また膀胱生検で間質性膀胱炎の所見を認め,ループス膀胱炎と診断した.症例2は33歳,女.3年前からSLEの診断で副腎皮質ステロイド剤を内服加療中に,発熱,膀胱直腸障害,意識障害が出現した.蝶形紅斑と両下肢の病的反射を認めたが,頭部・脊髄MRI検査では,明らかな病変はなかった.消化器症状,水腎・水尿管症は認めず,尿意はあり,膀胱内圧検査で蓄尿相は正常であったことより,神経ループス(neurolupus)による運動麻痺性神経因性膀胱(motor paralytic bladder)と診断した.2例ともステロイドパルス療法を行い,後遺症を残さずに膀胱機能は回復し,随伴する他の症状も軽快した.
  • 関 姿惠, 石川 治, 野口 幹正
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 13 号 p. 2005-2009
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    右半身に皮疹が多発したgeneralized morpheaの1例を報告した.症例は29歳,女.抗核抗体160倍(speckled pattern)以外に臨床検査値に異常なし.皮疹部生検組織では,真皮のほぼ全層にわたる膠原線維の均質化を認めた.過去12年間に当科で経験した斑状強皮症45例において,皮疹数と血清学的検査結果との関連を検討したところ,4個以上の斑状皮疹を有する症例群では3個以下の群に比べ抗核抗体またはリウマトイド因子の陽性率が有意に高かった(P<0.05).この結果から,基本的に4個以上の皮疹を有する例をgeneralized morpheaと定義すると,より免疫血清学的異常を伴う可能性が高いことが示唆された.
学術委員会より
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