日本皮膚科学会雑誌
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原著
広汎な分枝状皮斑と右正中神経栄養動脈塞栓を伴い,免疫吸着療法が奏効した原発性抗リン脂質抗体症候群の1例
田中 千洋白崎 文朗和薬 孝昌長谷川 稔谷内 克成佐藤 伸一山崎 雅英駒井 清暢横山 仁竹原 和彦
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2002 年 112 巻 12 号 p. 1611-1616

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抄録

症例は18歳女性.2000年2月頃から右上肢にしびれを認め,同年8月頃から両足背に分枝状皮斑が出現し,下腿に拡大した.皮斑の生検で真皮から皮下脂肪組織の小血管に血栓を認め,ループス抗凝固因子と左深部静脈血栓の存在から本症例を原発性抗リン脂質抗体症候群と診断した.抗血小板剤と抗凝固剤の内服を開始したが皮斑は上肢・体幹に拡大し,2001年10月に突然,栄養動脈塞栓によると考えられる右手正中神経麻痺が出現した.劇症型への進展を考慮し,ステロイド内服,4回の免疫吸着療法と後療法としてメチルプレドニゾロンパルス療法を行ったところ,ループス抗凝固因子は陰性化し,皮疹の拡大や神経症状の新たな出現はみられなくなった.また,右手の神経麻痺もほぼ消失した.

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© 2002 日本皮膚科学会
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