日本皮膚科学会雑誌
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原著
Sentinel node biopsyを施行した悪性黒色腫10例の検討
浅越 健治山崎 修牧野 英一佐藤 修平平木 祥夫岩月 啓氏
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2002 年 112 巻 14 号 p. 1807-1815

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抄録
Sentinel node(以下SN)biopsyを施行した悪性黒色腫10例について検討した.平成12年2月以前の4例では術中に色素を用いる方法(色素法)のみで,それ以降は術前リンフォシンチグラフィー(以下LS)も併用した.色素法単独では4例中2例で,計3個のSNが同定された.SNを同定できなかった2例は下肢原発で,患肢に高度な外傷の既往があった.LS併用例では6例全例で計10個(1例平均1.67個)のSNを同定した.複数のリンパ節領域にSNを認めた症例はなかった.またLSを施行した下肢原発例5例中3例では腸骨領域にもhot spotを認めた.SNを同定できた8例中6例,摘出したリンパ節13個中6個に微少転移を確認した.微小転移の判定にS-100,HMB-45,MART-1に対する免疫染色を用いたが,鋭敏度,特異性の面でMART-1が優れていた.HMB-45はSN転移陽性例6例中3例で陰性であったが,そのうち1例では原発巣真皮内の腫瘍巣もHMB-45がほぼ陰性であった.SNへの転移を認めた症例のうち2例にリンパ節郭清術を追加したが,SN以外のリンパ節への転移は確認されなかった.SN転移陰性の2例には,再発および転移を認めていない.SN転移陽性だがリンパ節郭清術を施行し得なかった4例のうち1例で,29カ月後にリンパ節転移を生じた.LSを併用した例では,色素法単独と比べ小さな皮切,剥離範囲で施行でき,確実性も高いと考えられた.しかし,SNをより確実に生検するためには,術中にガンマプローブガイド下にRI含有リンパ節を同定する方法の併用が望まれる.
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© 2002 日本皮膚科学会
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