2003 年 113 巻 14 号 p. 2039-2044
患者は2歳10カ月の女児で,生後4カ月頃より腰背部に紅色局面が出現した.近医で血管腫を疑われ,経過を観察されていた.しかし皮疹は徐々に増大し,2歳7カ月頃より圧痛を訴えるようになった.皮膚生検の結果dermatofibrosarcoma protuberans(DFSP)を疑われ,当院を紹介された.初診時の皮疹は径45×25mmの軽度隆起した浸潤性紅色局面で,一部に青紫色を呈する部分もみられた.病理組織所見は真皮浅層から脂肪織にかけて紡錘形の核を有する腫瘍細胞が不規則に増殖し,storiform patternを呈する部分も認められた.一部にメラニン色素を持つ細胞もみられた.免疫染色では,腫瘍細胞はCD34抗体およびvimentinが陽性であったが,S-100蛋白は陰性であった.一方メラニン含有細胞はvimentinおよびS-100蛋白は陽性であった.なお抗CD34抗体,HMB45,SMA(α-smooth muscle actin),EMA(epithelial membrane antigen)desminおよびFactor XIIIaはいずれも陰性であった.以上よりpigmented DFSP(Bednar tumor)と診断した.治療は全身麻酔下で,腫瘍辺縁から2cm離して筋膜上で全切除した.術後9カ月現在腫瘍の局所再発はない.