抄録
皮膚科領域ではステロイド剤の長期内服治療を必要とする症例にしばしば遭遇する.しかし,その副作用である骨粗鬆症についての臨床データは少ない.過去8年間にステロイド長期内服治療を行った膠原病8例,自己免疫性水疱症9例,その他の慢性炎症性皮膚疾患18例において,二重X線吸収測定法で腰椎骨密度を測定し,その推移とステロイド投与量との関連を検索した.膠原病,自己免疫性水疱症では大量長期にステロイドが投与されており,投与後では骨粗鬆症が合わせて5例(29.4%),骨減少症が8例(47.1%)にみられ,著明な骨密度の低下をきたした.一方,紅皮症や慢性湿疹等の少量長期投与症例でも骨密度の低下がみられたが,その変化は比較的軽度であった.ステロイド骨粗鬆症の予防と治療のためには,高齢,閉経や基礎疾患などの患者の背景因子に留意し,定期的な骨密度測定に基づく対策が必要と考えられた.