日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
速報的小論文
HIV感染者に対する抗HIV多剤併用療法中に認められた皮膚症状の検討
斎藤 万寿吉加藤 雪彦坪井 良治天野 景裕香川 和彦福武 勝幸
著者情報
ジャーナル 認証あり

2004 年 114 巻 4 号 p. 839-841

詳細
抄録

Human immunodeficiency virus(HIV)感染者に対する治療として,現在は抗HIV薬3剤以上を併用した強力な多剤併用療法:Highly active anti-retroviral therapy(HAART)が行われている.東京医科大学病院にて1996年から2002年にかけてHAARTが施行された205名について,HAART中に認められた皮膚症状を検討した.HAARTは経過中にウイルスの薬剤耐性の獲得などにより,薬剤が変更されることもあり,1人平均2.2回の治療法がのべ451回施行されていた.HAARTの影響が考えられた皮膚症状は76/205名(37.1%),のべ109例に認めた.その内訳は,紅斑丘疹型皮疹43/451例(9.5%),湿疹18/451例(4.0%),痤瘡・毛包炎14/451例(3.1%),Stevens-Johnson症候群4/451例(0.9%),陥入爪18/451例(4.0%),その他12/451例(2.7%)であった.HAARTにより多くの皮膚症状が出現することが判明したが,病気の性質上薬剤を変更しにくいため,全ての皮膚症状が薬剤により誘発されたと特定することはできなかった.

著者関連情報
© 2004 日本皮膚科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top