日本皮膚科学会雑誌
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原著
久留米大学皮膚科における単純型先天性表皮水疱症の遺伝子診断
濱田 尚宏河野 優子Kowalewski Cezary辛島 美保子安元 慎一郎橋本 隆
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2004 年 114 巻 8 号 p. 1415-1420

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抄録

久留米大学皮膚科において施行した単純型先天性表皮水疱症のケラチン5,14に関する遺伝子診断について報告した.対象は本邦およびポーランドより収集した15家系であり,臨床的・電顕的に各家系についてWeber-Cockayne型,Köbner型,Dowling-Meara型そして色素異常型と診断した.遺伝子診断の結果,13家系についてケラチン5あるいは14のミスセンス変異を同定し得た.従来の報告と同様にDowling-Meara型の変異はケラチン5または14の1A,2Bの両端部分の20アミノ酸内に同定され,色素異常型ではケラチン5にP25L変異が同定された.一方,Weber-Cockayne型とKöbner型では遺伝子変異型と臨床型に一定の相関は認められなかった.今後,先天性表皮水疱症における病型診断の一端としての遺伝子解析は,個々の症例の重篤度や臨床的予後をある程度予測したり,治療方針の決定や家族への説明,生活指導,遺伝相談を行う上で重要性が増すものと考えられた.

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© 2004 日本皮膚科学会
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