日本皮膚科学会雑誌
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原著
頭蓋内浸潤をきたした皮下型頭部皮膚悪性血管内皮細胞腫―重篤例に対する新たな治療法の試み―
前田 亜希子増澤 真実子増澤 幹男前島 英樹新山 史朗清野 みき倉田 彰西口 郁市川 薫勝岡 憲生
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2005 年 115 巻 5 号 p. 737-742

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抄録
頭部の悪性血管内皮細胞腫としては若年の47歳時に,まれな皮下型として発症し,さらに頭蓋内浸潤を来たした重篤例を経験した.右耳前部皮下の原発病変は他院で拡大切除された後に紹介されたが,すぐに局所再発および頸部リンパ節転移が起こった.当科では電子線・X線照射に加え,点滴静注による化学療法の継続を施行し,7カ月間寛解状態を維持したが右耳後部皮下に再発した.さらに頭蓋内に浸潤し手拳大の腫瘍塊を形成し,小脳症状から意識障害に陥った.救命は困難と思われたが,ステロイドホルモン大量療法と限界量のX線照射療法に加えタキソイド系抗腫瘍剤の選択的動注療法を併用した積極的療法を行った.その結果,症例は驚異的な回復をみせ5カ月間社会復帰することができた.本例に実施した治療内容は頭蓋内に浸潤した重篤な悪性血管内皮細胞種例に対する新たな治療指針になると考えられる.
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© 2005 日本皮膚科学会
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