抄録
結節性硬化症は1800 年代から知られた疾患であるが,その後100年にわたってほとんど進展がなかった.1990年代に入って,TSC2,TSC1遺伝子が相次いで同定され1)2),本症の研究が急速に進み,本症は全身の過誤腫をきたす疾患と考えられるようになった.それに伴いTSC1,TSC2遺伝子およびその遺伝子産物であるhamartin,tuberinの作用にもスポットが当てられた.最近TSC1/TSC2複合体がPI3kinase-AktmTOR signalling pathwayを介して細胞の大きさや増殖の調節に関与していることも判ってきた.