日本皮膚科学会雑誌
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115 巻, 6 号
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皮膚科セミナリウム 第2回 母斑症
原著
  • 中川 秀己, 五十嵐 敦之
    原稿種別: 原著
    2005 年 115 巻 6 号 p. 863-870
    発行日: 2005/05/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    乾癬は慢性的な皮膚症状とそれがもたらす「Negative Body Image」のために,QOLが著しく低下している疾患である.現在,国内外で,QOL評価尺度の開発やQOLを向上させるための治療が検討され,活発に研究が行われている.これらの論文を総括することで,「乾癬患者におけるQOLの障害」「乾癬患者におけるQOL尺度」「乾癬患者のQOL評価と重症度との関連性」についての最新の知見を紹介し,本邦におけるQOL研究の現状について論じた.併せて,「QOL向上のための治療指針」を提示し,本邦でも患者の視点に立った治療を具現化するために,QOL評価に基づく乾癬治療の重要性を強調したい.
  • 小林 桂子, 森田 明理
    原稿種別: 原著
    2005 年 115 巻 6 号 p. 871-877
    発行日: 2005/05/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    今回我々は,本邦での乾癬に対するPUVA-bath療法を確立するために,本邦および英国ガイドラインを参考に,照射プロトコールの最適化を試みた.のべ100例(83人)の難治性乾癬患者を対象とし,後ろ向き観察研究(retrospective observational study)として解析を行った.照射方法は増量幅,照射頻度を変更した3つのプロトコールを用いた.いずれのプロトコールでも初期照射量は0.2 J/cm2,最大照射量4.0 J/cm2とした.プロトコール1は,増量幅0.3 J/cm2に固定し週4回照射.プロトコール2・3は増量幅を0.3~0.7 J/cm2と徐々に上げ,プロトコール2では週4回,プロトコール3では週5回照射した.いずれのプロトコールでも,寛解率は約90%で,関連性の明らかな重篤な副作用はなかった.寛解期間はプロトコール1・2で4.0~6.6カ月だった.寛解に至るまでの在院日数はプロトコール3が他に比べて有意に短く36.5日であった.プロトコール3の照射回数も20回で最少であり,その差はプロトコール1と比べて有意であった.また有意差はないものの総照射量も56.4 J/cm2で最少であった.併用されているビタミンD3外用薬の効果を比較したところ,カルシポトリオール軟膏とマキサカルシトール軟膏は寛解率,在院日数,照射回数などにおいて同等の結果を示した.プロトコール3を導入することによって,本邦において安全性が高く,効果の高い標準的なPUVA-bath療法を行うことが可能になると考えられる.
  • 岩田 浩明, 山崎 直也, 山本 明史
    原稿種別: 原著
    2005 年 115 巻 6 号 p. 879-885
    発行日: 2005/05/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    進行期悪性黒色腫に対するdacarbazine,nimustine,cisplatin,tamoxifenを用いた多剤併用化学療法(DAC-Tam療法)の臨床効果について,全国13施設より計77例の症例を集計し検討した.性別では男性37例,女性40例であった.原発部位は既知の報告と同様で下肢に多い傾向があり,病型はsuperficial spreading melanoma(SSM)19例,nodular melanoma(NM)17例,acral lentiginous melanoma(ALM)15例でlentigo maligna melanoma(LMM)は1例も認めなかった.原発不明あるいは粘膜部原発など分類不能例が,28例と多く認めた.転移臓器は肺,リンパ節,皮膚および皮下,肝臓が多く,転移臓器数は1臓器のみの症例が40例と過半数を占めていた.抗腫瘍効果判定はcomplete response 1例(1.3%),partial response 15例(19.5%)で奏効率は20.8%であり,奏効臓器は肝臓,肺,リンパ節などであった.有害反応は骨髄抑制,肝機能障害,悪心および嘔吐が比較的多く認められた.
  • 阿部 浩之, 菅井 順一, 中川 秀己, 大槻 マミ太郎
    原稿種別: 原著
    2005 年 115 巻 6 号 p. 887-891
    発行日: 2005/05/20
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル 認証あり
    シクロスポリン(以下CyAと略す)の主な副作用である高血圧/血圧上昇について,自治医科大学皮膚科乾癬外来においてCyA内服療法を6カ月以上施行した患者43例を基に,①高血圧/血圧上昇合併症例の現状,②治療と経過,③降圧薬併用に伴う有害事象を後方視的に検討した.降圧薬との併用症例は13例で,8例はCyA内服前から,5例はCyA内服後からであった.またCyAが原因と考えられる高血圧/血圧上昇は前者(8例)の中1例,後者(5例)の中3例で認めたが(対象の約9%),いずれも降圧薬併用によりコントロール可能であった.併用降圧薬はCa拮抗薬が最も多かった(13例中10例).有害事象として歯肉肥厚を2例認めたが,アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)に変更することで改善し,同時に血圧には影響を与えなかった.CyA内服療法中に高血圧を生じた場合,血圧上昇の機序並びに腎保護効果の面からはARBとアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE-I)が有用と考えられるが,ARBとACE-Iが第一選択薬となりうるかどうかについては今後更なる検討が望まれる.
  • 太田 安紀, 水野 可魚, 杉原 昭, 岡本 祐之, 堀尾 武
    原稿種別: 原著
    2005 年 115 巻 6 号 p. 893-896
    発行日: 2005/05/20
    公開日: 2014/12/10
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    症例1:75歳,女性.初診の4年前から四肢,体幹に痒みを伴う手拳大までの環状に隆起する紅斑が出現し当科を受診した.皮疹の形態と生検で環状肉芽腫と診断した.ステロイド外用の効果が不十分であったため,NB-UVBを計15.1 J/cm2照射したところ紅斑はほぼ消失した.現在も照射継続中で皮疹の再然はない.症例2:71歳,女性.初診の1年前から両下腿後面に自覚症状を伴わない丘疹が出現し,徐々に遠心性に拡大し環状に隆起する紅斑となった.約1カ月間ステロイド外用による治療を行ったが反応せず当科へ紹介された.環状肉芽腫と診断しNB-UVBを計21.5 J/cm2照射したところ紅斑は消失し,色素沈着を残すのみとなった.本症は難治性で種々の治療が試みられている.PUVA療法も有効であるが,NB-UVB照射は前処置が不要なこと,照射時間が短いことなど簡便であり,汎発性環状肉芽腫の第1選択治療となりえると考えた.
学会抄録
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