日本皮膚科学会雑誌
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皮膚科セミナリウム 第43回 蕁麻疹と紅斑症
蕁麻疹の診断と治療
猪又 直子
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ジャーナル 認証あり

2008 年 118 巻 12 号 p. 2383-2395

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抄録
「蕁麻疹・血管性浮腫の治療ガイドライン」に示されている,病型を意識した診療をより円滑に行えるように,病型分類の手順や病型に即した治療の捉え方について解説する.病型分類にあたり,最初に比較的容易に鑑別できる特殊型(カテゴリーIII)をスクリーニングし,次に特定刺激により誘発される蕁麻疹(カテゴリーII)へと鑑別を進める.そして,それらに当てはまらない場合は,特発性蕁麻疹(カテゴリーI)と分類する.最後に直接の原因にはならないが,増悪因子ないし背景として関わった可能性のある因子がないかを確認する.ひとたび病型分類ができたならば,蕁麻疹の病勢,重症度,緊急性などを正確に評価した上で,治療方針を決定していく.多くの病型で H1 拮抗薬が第一選択薬となるが,特発性蕁麻疹をはじめ複数の病型で標準的治療に難渋する症例がみられるので,次の一手として用いる補助的治療の有効性や処方の目安の理解も必要である.また,近年,「慢性蕁麻疹における凝固線溶系の関わり」が報告され,慢性蕁麻疹の病態解明における新たな展開に期待がよせられている.
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© 2008 日本皮膚科学会
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