日本皮膚科学会雑誌
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118 巻, 12 号
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皮膚科セミナリウム 第43回 蕁麻疹と紅斑症
  • 猪又 直子
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第43回 蕁麻疹と紅斑症
    2008 年 118 巻 12 号 p. 2383-2395
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    「蕁麻疹・血管性浮腫の治療ガイドライン」に示されている,病型を意識した診療をより円滑に行えるように,病型分類の手順や病型に即した治療の捉え方について解説する.病型分類にあたり,最初に比較的容易に鑑別できる特殊型(カテゴリーIII)をスクリーニングし,次に特定刺激により誘発される蕁麻疹(カテゴリーII)へと鑑別を進める.そして,それらに当てはまらない場合は,特発性蕁麻疹(カテゴリーI)と分類する.最後に直接の原因にはならないが,増悪因子ないし背景として関わった可能性のある因子がないかを確認する.ひとたび病型分類ができたならば,蕁麻疹の病勢,重症度,緊急性などを正確に評価した上で,治療方針を決定していく.多くの病型で H1 拮抗薬が第一選択薬となるが,特発性蕁麻疹をはじめ複数の病型で標準的治療に難渋する症例がみられるので,次の一手として用いる補助的治療の有効性や処方の目安の理解も必要である.また,近年,「慢性蕁麻疹における凝固線溶系の関わり」が報告され,慢性蕁麻疹の病態解明における新たな展開に期待がよせられている.
  • 谷川 瑛子
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第43回 蕁麻疹と紅斑症
    2008 年 118 巻 12 号 p. 2397-2402
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
  • 加藤 則人
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第43回 蕁麻疹と紅斑症
    2008 年 118 巻 12 号 p. 2403-2406
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
  • 竹中 祐子, 林 伸和
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第43回 蕁麻疹と紅斑症
    2008 年 118 巻 12 号 p. 2407-2414
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    環状紅斑は,デルマドロームの一つとして重要な皮膚疾患である.環状紅斑にはシェーグレン症候群や亜急性皮膚エリテマトーデスのように膠原病に関係するもの,匍行性迂回状紅斑のように内臓悪性腫瘍に関係するもの,ボレリアによる慢性遊走性紅斑やA群β溶連菌によるリウマチ性環状紅斑のように感染症に伴うものなどがある.さらに,遠心性環状紅斑や単に環状紅斑と呼ばれるものの中にも,病巣感染や悪性腫瘍に伴うものが含まれる.本稿では,種々の環状紅斑を原因別に分類して,それぞれを概説した.
原著
  • 西山 瑞穂, 金澤 伸雄, 山本 有紀, 古川 福実
    原稿種別: 原著
    2008 年 118 巻 12 号 p. 2415-2419
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    類上皮細胞肉芽腫からなるアレルギー性ピアス肉芽腫を認めた 54 歳女性の 1 例を報告する.両耳にピアスを始めて 5 年後に右耳垂に結節を形成したため近医にて切除したが間もなく再発した.病理組織にて非乾酪壊死性類上皮細胞肉芽腫を認め,金属パッチテストで金酸と白金酸に陽性を示したことから,金属ピアスに対する遅延型アレルギーによるピアス肉芽腫と診断した.近年諸外国にてピアスによりサルコイド様型類上皮肉芽腫からなるアレルギー性肉芽腫が生じることが報告されており,今後本邦においても同様の症例が増加する可能性があり,適切な診断と治療のため注意を要する.
  • 藤田 繁
    原稿種別: 原著
    2008 年 118 巻 12 号 p. 2421-2428
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    平成10年から16年までの7年間,6月1日から9月 30 日までの期間に,長岡市の皮膚科開業医療施設で,細菌の増殖が関係していると思われた皮膚疾患のほぼ全例で培養検査をした.のべ 1,538 人の 1,657 検体中,培養陽性は 92.8% で,1,960 株の細菌が分離された.黄色ブドウ球菌1,372 株中,メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)が 1,064 株,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は308株で,MRSAの割合は22.5% であった.メチシリン感受性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌が 149 株,メチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌が 16 株,溶血性連鎖球菌が 128 株,その他の細菌が 295 株であった.なお,平成 16 年に MRSA が分離された皮膚疾患患者 51 人中,36 人から37 検体(1 人は再発したため2 回検体採取)を再診時に鼻腔から採取し,20 検体(54.1%)からMRSA が分離された.MSSA は平成 10 年,16 年ともに,ほとんどの菌株がセフェム系抗生物質に対して,感受性が感性(Susceptible,以下,S)と判定された.しかし,ゲンタマイシンへの感受性が S と判定された割合(S 率)は,平成10 年は 43.8%,16 年は 30.9% と低下していた.MRSA に関しては,ミノマイシン(MINO)への S率は,平成 10 年は 100%,16 年は 96.3%,ホスホマイシン(FOM)へ の S 率は,平 成 10 年 は 78.6%,16 年は77.7%,テトラサイクリンへの S率は,平成10 年は 71.4%,16 年は 70.4% と高かった.平成 10 年と 16 年の MRSA 分離皮膚疾患は,セフェム系抗生物質の内服,FOM とセフジニル(CFDN)の2 剤内服やMINO 内服と,外用剤の併用で全例が治癒した.なお,皮膚分離MRSA 株は CFDN やファロペネム(FRPM)に,他のセフェム系抗生剤へよりは高いS 率を示した.細菌が分離された皮膚疾患に対しては,まず MSSA が増殖していると想定し,セフェム系抗生物質の内服を第一選択として用い,症状が改善しない場合にはMRSA 感染症を考慮して,FOM と CFDN の併用内服やMINO 内服に変更するのが良いと考えられた.
  • 伊東 慶悟, 安齋 眞一, 木村 鉄宣
    原稿種別: 原著
    2008 年 118 巻 12 号 p. 2429-2434
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    poroid cell neoplasms 421 例について,4 つの組織亜型とそれらの混在を検討した.札幌皮膚病理研究所で,過去5 年間に,Pinkus 型(eccrine poroma,以下 P),Smith-Coburn 型(hidroacanthoma simplex, 以下 S),Winkelmann-McLeod 型(dermal duct tumor,以下W),Mayer 型(hidradenoma,以下 M)と診断したporoid cell neoplasms 1,225 検体中,病理標本が再検討できた421例を用いた.4組織型の混在は 151例(35.9%)で観察された.混在型が高頻度に存在することから,4 組織型を独立した疾患ととらえるよりも,poroid cell neoplasms として一括し,4 組織型はその 4亜型として位置付ける考え方を提唱した.
  • 川上 佳夫, 柳堀 浩克, 加藤 保信, 西部 明子, 大塚 幹夫, 山本 俊幸
    原稿種別: 原著
    2008 年 118 巻 12 号 p. 2435-2440
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    最近10 年間に当院皮膚科を受診した関節症性乾癬(psoriatic arthritis;PsA)患者を対象として,年齢,性,当科で PsA の治療を開始した時の皮疹の特徴とその重症度,関節症状の病型,炎症関節数,血清CRP 値,リウマチ因子について検討した.さらにこれまでで最も関節痛が強かった時期に関して,レトロスペクティブに日本語版 Health Assessment Questionnaire (Japanese Version of the Stanford HAQ;J-HAQ)のアンケート調査を行った.その結果,患者数は 22 人(男性17人,女性5人),平均年齢は 40.2 歳で,皮膚の症状は尋常性乾癬が 20 例,膿疱性乾癬が 2 例であった.関節症性乾癬の病型は DIP 型が 2 例,ムチランス型が 2 例,対称性多関節炎型が 9 例,非対称関節炎型(少数指趾型)が7例,強直性脊椎炎型が 2 例であった.皮疹発症から関節炎発症までの期間は平均 5.8 年で,皮疹先行例が 15 例,関節炎先行が 4 例,同時発症が 3例であった.リウマチ因子の陽性例は 13 IU/ml と軽度上昇を示した 1 例のみで,他は陰性であった.PASI スコアの平均は 10.2(n=15),血清 CRP 値の平均は 3.1 mg/dl(n=22),炎症関節数の平均は 6.8 個(n=21)であった.回答の得られた 17 例におけるJ-HAQ の Disability Index の平均は 1.23 で,炎症関節数,血清 CRP 値および PASI スコアとの間に有意な相関関係は認めなかった.しかし,症例を当科で治療開始時の関節痛が最も強いと回答した 9例に限定した場合には,JHAQ の Disability Index は炎症関節数および血清CRP 値との間に強い正の相関を認めた.
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