日本皮膚科学会雑誌
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原著
エーラスダンロス症候群古典型の3例:その診断とQOLの問題点について
峯垣 裕介谷岡 未樹荒木 絵里二見 徹三谷 恒雄宮地 良樹宇谷 厚志
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2008 年 118 巻 8 号 p. 1503-1509

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抄録

エーラスダンロス症候群(以下EDS)古典型は,結合組織の強度不足を特徴とする遺伝性疾患であり,欧米の例ではV型コラーゲン異常が報告されている.今回我々はEDS古典型の3例を経験した.症例1:45歳 女性.両親がいとこ婚.症例2:30歳 女性.症例3:27歳 男性 症例2の弟.いずれの症例も生下時より皮膚の過伸展,関節の過剰可動性,組織の脆弱性などのEDS古典型の典型的臨床症状を示した.また,関節の亜脱臼や拘縮,著しい筋力低下がみられ,日常生活に支障をきたしていた.これらの合併症は,整形外科医と連携しながら可及的早期にリハビリテーションを開始し,日常生活での運動療法などを行うことで回避することが可能である.我々皮膚科医が新しい病型分類と臨床診断基準を熟知し特徴的な皮膚症状を早期にとらえ,診断することは患者のQOLの改善につながると考えた.

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© 2008 日本皮膚科学会
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