抄録
血管炎とは血管壁を中心に炎症性細胞浸潤によって血管破壊をきたす炎症性疾患である.血管炎の確定診断は病理組織診断であるが,血管炎を伴わない多くの血管炎類似疾患や類似組織所見と区別するには血管炎の概念と病理組織診断の基本原則を理解する必要がある.皮膚血管炎において,真皮の小血管炎は主に細静脈を侵す好中球浸潤を主体とした好中球性血管炎,いわゆる白血球破砕性血管炎(Leukocytoclastic vasculitis)である.下腿の静脈炎は動脈炎と誤診されやすく,誤診による過剰な治療を避けるためにも病理組織学的に動脈炎か静脈炎かの正しい判別が必要である.