日本皮膚科学会雑誌
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皮膚科セミナリウム 第79回 リンフォーマ
皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫
川内 康弘
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2011 年 121 巻 12 号 p. 2461-2465

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抄録
皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫(Subcutaneous panniculitis-like T-cell lymphoma; SPTCL)は,皮下脂肪織を主たる浸潤組織とするまれな節外リンパ腫である.多発性皮下結節で発症し,多くの症例は発熱,関節痛などの全身症状を伴う.しばしば血球貪食症候群(hemophagocytic syndrome: HPS)を合併し,予後を左右する.リンパ腫細胞は細胞障害性T細胞のフェノタイプを持ち,浸潤組織には小型から大型の様々な腫瘍細胞の浸潤があり,rimming像,核崩壊(karyorrhexis)像,細胞壊死像,血球貪食像などがみられる.近年,腫瘍細胞のT細胞受容体の種類によって,HPSの合併が少なく比較的予後がよいαβ型SPTCLと,高頻度にHPSを合併し予後の悪いγδ型SPTCLを区別し,γδ型はcutaneous γδT-cell lymphomaとしてSPTCLとは別疾患とする考え方が確立しつつある.
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© 2011 日本皮膚科学会
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