抄録
57歳,男性.7年ほど前より右下腿に有痛性の皮下腫瘤が出現した.初診時,右下腿内側に10×10 mm大の境界明瞭な弾性軟の皮下腫瘤を認め,揉むと硬くなり疼痛が出現した.超音波所見では,結節はlow echoic lesionで内部エコーはほぼ均一であった.カラードプラでは血流が豊富で,揉むと腫瘍は硬くなって血流シグナルが消失し,温めると再び血流シグナルが出現した.病理組織学的所見では,血管と不規則に交錯する紡錘形細胞から構成されており,血管平滑筋腫と診断した.血管平滑筋腫は発作性に疼痛が出現することが知られるが,疼痛出現前後の超音波所見の変化についての報告はいまだない.本稿では,自験例の超音波所見を記載するとともに文献的考察を加えた.