日本皮膚科学会雑誌
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原著
皮膚血管病変を伴う原発性Sjögren症候群6症例における血中抗リン脂質抗体の検討
木村 聡子竹内 そら相馬 良直川上 民裕
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2012 年 122 巻 14 号 p. 3755-3761

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抄録

原発性Sjögren症候群は,皮膚血管病変を含んだ多彩な皮膚症状を呈し,抗リン脂質抗体を検出したという報告が散見される.我々は,原発性の皮膚血管炎(成人Henoch-Schönlein紫斑病や皮膚型結節性多発動脈炎)において,血中ループスアンチコアグラント(LAC)が陽性となり,抗カルジオリピン抗体(aCL),抗ホスファチジルセリン・プロトロンビン複合体抗体(aPSPT)の抗リン脂質抗体が上昇することを報告した.今回,当施設で皮膚血管病変を合併した原発性Sjögren症候群患者6症例を経験したので,血中LAC,aCL,抗β2-glycoprotein1抗体(aβ2GP1),aPSPTの抗リン脂質抗体を測定し,検討した.結果は6例中5例(83%)でLAC陽性,6例全例(100%)でaPSPT陽性そのうち5例(83%)はaPSPT IgMが陽性で,その平均値は19.4±5.9 U/ml(正常値は10 U/ml以下)と高値であった.対して,aCLとaβ2GP1は,1例のみが陽性を示した.蛍光抗体直接法では,施行した4例すべてで罹患皮膚血管病変にIgM沈着があった.以上から,原発性Sjögren症候群において,抗リン脂質抗体,特にaPSPTが何らかの関与を及ぼした場合,皮膚血管病変を発症する可能性が示唆された.

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© 2012 日本皮膚科学会
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