日本皮膚科学会雑誌
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原著
東京医科大学病院におけるHIV感染者に発症した帯状疱疹70症例の検討
宝田 英子齋藤 万寿吉三橋 善比古山元 泰之福武 勝幸坪井 良治
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2012 年 122 巻 3 号 p. 619-623

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抄録
2004年5月から2008年12月までに,東京医科大学病院皮膚科および臨床検査医学科を受診したHIV(human immunodeficiency virus 1)感染者に生じた帯状疱疹70症例(64人)について検討した.患者の内訳は男性が94.3%と大多数を占め,20歳代および30歳代に多く,発症時の平均年齢は32.6歳であった.この70症例は同期間の全帯状疱疹患者の3.3%であった.発症部位に特定の傾向は認めなかった.発症時のCD4陽性リンパ球数は300台に最も多く,HAART(多剤併用療法:highly active antiretroviral therapy)の有無による差はなかった.帯状疱疹の既往歴を有する例は18.8%にみられた.HIV感染者に生じた帯状疱疹の本邦の過去の報告では,CD4陽性リンパ球数が低い症例に多く,症状も重症化するとされてきた.しかし,今回の我々の統計では,非HIV感染者と比較して,症状,治療内容,予後に大きな差が認められなかった.
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© 2012 日本皮膚科学会
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