日本皮膚科学会雑誌
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122 巻, 3 号
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日本皮膚科学会ガイドライン
委員会報告
皮膚科セミナリウム 第83回 爪のみかた
  • 小林 裕美
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第83回 爪のみかた
    2012 年 122 巻 3 号 p. 581-585
    発行日: 2012/03/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    爪に病変をきたす感染症には,真菌,細菌,ウイルスなどによるものがある.中でも多いのが爪真菌症で,爪の白濁,肥厚,変形など種々の病変をきたす.同様の病変は,爪の乾癬や掌蹠膿疱症など非感染性疾患でもみられるため,直接鏡検は非常に重要である.本稿では,爪の感染症を,爪真菌症を中心に,病原体ごとに分類して,それぞれの診断,治療上の主な注意点を概説する.
  • 宇原 久
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第83回 爪のみかた
    2012 年 122 巻 3 号 p. 587-592
    発行日: 2012/03/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    爪および爪周囲にみられる腫瘍性病変について解説した.メラノーマは成人後に単指(趾)に出現してきた色素線条で,早期病変はダーモスコピーで色素線条の幅と色の縦方向における不均一性(幅や色の急激な変化),爪小皮の色素沈着(micro-Hutchinson),爪周囲の皮膚の色素斑が皮丘優位,などの所見を伴う.有棘細胞癌は爪下に発生し爪の破壊や悪臭を伴う.その他の疾患として,グロームス腫瘍,爪下外骨腫(骨軟骨腫),骨膜性軟骨腫,粘液嚢腫,後天性爪囲角化線維腫,Koenen腫瘍,Infantile digital fibromatosis,Onychomatricoma,転移性皮膚腫瘍,尋常性疣贅,粉瘤,被角血管腫,神経線維腫,神経鞘腫,外傷後神経腫,Superficial acral fibromyxomaなどがある.
  • 須賀 康
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第83回 爪のみかた
    2012 年 122 巻 3 号 p. 593-598
    発行日: 2012/03/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    先天性爪疾患は,無爪甲症,異所爪などを代表とする,爪甲・末節部にのみ限局した変化を生じるもの,または,爪・膝蓋症候群,強皮骨膜症などを代表とする,先天性疾患の部分症状の1つとして爪変化が生じるものの2つに大別される.特に後者では,爪症状が確定診断の決め手となる場合もあり重要である.また,先天性爪疾患の診断の際には,X線所見が有用な場合が多い.正常な爪が生えてくることは期待できないため,治療は爪の形状を切り整えるか切除術などで対処的に行う.
  • 衛藤 光
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第83回 爪のみかた
    2012 年 122 巻 3 号 p. 599-605
    発行日: 2012/03/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    爪に現れる変化には皮膚疾患による限局性のものと,全身性疾患による多くの爪に生じるものがある.代表的な全身性疾患による爪の変化には,爪甲剥離症;甲状腺機能亢進症,白い爪;腎障害・肝障害・炎症性腸炎,黄色い爪;気管支拡張症,黒い爪・爪甲色素線条;アジソン病・抗がん剤,赤い爪;先天性心疾患・多血症・薬剤性,匙状爪;貧血,ヒポクラテスの爪;肺癌・炎症性腸炎・HIV感染症,爪甲萎縮症;扁平苔癬・アミロイドーシス,爪囲紅斑・爪上皮延長・爪上皮出血点;膠原病,爪甲脆弱化を伴う爪囲炎;分子標的薬(EGFRI)がある(表).
原著
  • 井上 千鶴, 曽我部 陽子, 永井 弥生, 石川 治
    原稿種別: 原著
    2012 年 122 巻 3 号 p. 607-611
    発行日: 2012/03/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    1996年から2010年の15年間に群馬大学皮膚科を受診した皮膚サルコイドを含めたサルコイドーシス患者116例中の膠原病合併例について臨床的に検討した.膠原病合併例は10例,サルコイドーシス患者の8.6%で,年齢は29歳から70歳,全例女性であった.合併した膠原病は,シェーグレン症候群4例,皮膚筋炎とシェーグレン症候群1例,全身性強皮症と多発性筋炎1例,SLE 2例,多発性筋炎1例,皮膚筋炎1例であった.いずれかの疾患の診断が先行したものは4例,同時期に診断したものは6例であった.いずれかの疾患が先行した症例における合併疾患診断までの期間は6年~30年,平均は14年と経過の長いものが多かった.サルコイドーシスと膠原病の合併例の報告は散見され,サルコイドーシスにおいては自己抗体の出現頻度が高いことも指摘されている.サルコイドーシスでは膠原病などの自己免疫性疾患の合併も念頭に経過をみることが必要と考えた.
  • 大谷 道輝, 鏡 真衣, 野澤 茜, 松元 美香, 山村 喜一, 江藤 隆史
    原稿種別: 原著
    2012 年 122 巻 3 号 p. 613-618
    発行日: 2012/03/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    皮膚外用剤は塗布量が効果に影響を与える.この皮膚外用剤の塗布量は基剤や剤形により影響される.温度も塗布量に影響するが,これに関する検討はほとんど報告されていない.そこで,皮膚外用剤の伸展性あるいは塗布量に与える温度の影響について1°Cと30°Cでスプレッドメーターと健常人を用いて調べた.1°Cから30°Cの上昇により油脂性基剤では伸展性は2倍,降伏値は大幅に減少した.油脂性基剤の塗布量は約2倍に増加した.W/O型乳剤性基剤も伸展性や塗布量が同様に増加した.これに対し,水溶性基剤およびO/W型乳剤性基剤では1°Cから30°Cの上昇により伸展性,降伏値はほとんど低下せず,塗布量も変化は認められなかった.これらのことから,患者の塗布量に関する説明では油脂性基剤およびW/O乳剤性基剤では温度による伸展および塗布量への影響を考慮する必要があることが示唆された.
  • 宝田 英子, 齋藤 万寿吉, 三橋 善比古, 山元 泰之, 福武 勝幸, 坪井 良治
    原稿種別: 原著
    2012 年 122 巻 3 号 p. 619-623
    発行日: 2012/03/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    2004年5月から2008年12月までに,東京医科大学病院皮膚科および臨床検査医学科を受診したHIV(human immunodeficiency virus 1)感染者に生じた帯状疱疹70症例(64人)について検討した.患者の内訳は男性が94.3%と大多数を占め,20歳代および30歳代に多く,発症時の平均年齢は32.6歳であった.この70症例は同期間の全帯状疱疹患者の3.3%であった.発症部位に特定の傾向は認めなかった.発症時のCD4陽性リンパ球数は300台に最も多く,HAART(多剤併用療法:highly active antiretroviral therapy)の有無による差はなかった.帯状疱疹の既往歴を有する例は18.8%にみられた.HIV感染者に生じた帯状疱疹の本邦の過去の報告では,CD4陽性リンパ球数が低い症例に多く,症状も重症化するとされてきた.しかし,今回の我々の統計では,非HIV感染者と比較して,症状,治療内容,予後に大きな差が認められなかった.
学会抄録
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