日本皮膚科学会雑誌
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原著
トシリズマブ投与中にHodgkinリンパ腫を発症した全身型Castleman病(multicentric Castleman’s disease)の1例
高山 良子二神 綾子安齋 眞一高田 香織義澤 雄介福永 景子中村 恭子田村 秀人壇 和夫川名 誠司
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2012 年 122 巻 6 号 p. 1571-1579

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抄録

42歳男性.29歳時頃,健診で蛋白尿を指摘され,同時期より体幹に暗赤褐色斑が出現した.3年後,胸部異常陰影を指摘され,Castleman病を疑われ,当科を紹介された.血液検査で多クローン性高γグロブリン血症,貧血,CRP高値,血沈亢進,血清IL-6高値を認めた.皮膚生検では真皮内に胚中心の形成を伴うリンパ濾胞が多発し,多クローン性の形質細胞が高度に浸潤していた.皮膚組織より施行した遺伝子再構成はサザンブロット法,PCR法ともIgH鎖はgerm lineであった.CTでは両側肺野末梢に小粒状影の散在,両側腋窩,気管近傍,縦隔リンパ節腫脹,肝・腎腫大を認めた.Multicentric typeのCastleman病と診断し,プレドニゾロン,シクロホスファミドによる治療を試みた.症状は緩徐に進行したため,38歳時よりトシリズマブを投与したところ,臨床症状,検査所見ともに改善した.しかし投与を開始して2年8カ月後より右内深頸リンパ節腫大が出現し,生検の結果,Hodgkinリンパ腫(混合細胞型)と診断された.トシリズマブを中止し,当院血液内科で化学療法を施行したところ,効果判定はComplete remission(CR)であった.

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© 2012 日本皮膚科学会
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