日本皮膚科学会雑誌
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原著
分子標的薬によるred lunula
酒井 大輔村田 洋三高井 利浩神保 晴紀熊野 公子
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2013 年 123 巻 10 号 p. 1955-1960

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抄録

当院において2011年1月27日から10月31日の間に化学療法中に当科を受診した71例のred lunulaの有無を観察し,全71例中30例(42%)と高頻度にred lunulaを認めた.年齢,性別,Performance Status,分子標的薬投与の有無,EGFR阻害薬投与の有無,分子標的薬以外の各種抗癌剤の投与の有無,毛囊炎・爪郭炎の有無について解析したところ,分子標的薬投与群,EGFR阻害薬投与群,毛囊炎のある群,爪郭炎がある群でred lunulaが統計的有意性をもって多く見られた.red lunulaの発生機序は不明だが,分子標的薬,特にEGFR阻害薬の投与により爪母細胞の角化に異常が起こり,その結果爪半月部での爪甲の本来の不透明性が低下し,下床の血管が透見できる結果red lunulaとして現れると考えた.

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© 2013 日本皮膚科学会
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