日本皮膚科学会雑誌
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原著
DIHSの病態をとったテラプレビルによるTENの1例
山本 佐織原田 和俊安藤 典子青木 類川村 龍吉柴垣 直孝島田 眞路
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2013 年 123 巻 2 号 p. 149-154

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抄録
50歳,女性.慢性C型肝炎に対しIFNα2b,リバビリン,テラプレビルによる3剤併用療法を開始した.投与開始後,胸部,腰部,大腿に限局した紅斑性丘疹が出現し,これらの薬剤の投与を継続したままステロイド軟膏外用にて皮疹は消失した.しかし,1カ月後皮疹が再発.皮疹が広範囲であるため,IFNα2b,リバビリン,テラプレビルを中止し,ステロイドの全身投与を行うが,皮疹はさらに増悪し,HHV-6再活性化,好酸球増多を認めた.皮膚のびらん,粘膜疹が出現,TENとなった.ステロイドパルス療法,血漿交換,免疫グロブリン大量投与により皮疹は改善した.DIHSの病態をとったTENの一例と考えられる.テラプレビルは有害事象として皮疹を高率に生ずるが,内服を継続したままで消失する症例も多い.しかし,その反面,自験例のような重症型の薬疹が出現することもあり,注意深い経過観察が必要である.テラプレビルを用いたC型肝炎の治療には皮膚科医の果たす役割が大きい.
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© 2013 日本皮膚科学会
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