2018 年 128 巻 4 号 p. 601-605
63歳,男性.左母趾爪甲全体を濃淡不整な褐色の線条が占め,Hutchinson徴候を伴いmelanoma in situの診断で末節骨直上で切除.病理では爪母から爪床,趾尖の基底層に卵円形の腫瘍細胞が孤立性,胞巣状に増殖.爪床遠位から趾尖の真皮内には大小不同の紡錘形の腫瘍細胞が膠原線維の増生を伴って増殖していた.腫瘍細胞はS-100陽性,Melan-A陰性で,HMB-45染色は表皮内病変のみ陽性であった.爪というまれな部位に生じ,腫瘤は目立たず色素斑のみの所見が特異であった.