2021 年 131 巻 8 号 p. 1859-1868
尋常性白斑(vitiligo;以下,白斑)はメラノサイトの消失により表皮メラニンが減少する後天的自己免疫疾患であるが,その病態はいまだ解明されていない.表皮細胞の細胞核の上方に分布したメラニンが,紫外線による核のDNA障害を防御し発癌リスクを減ずることはよく知られている.そのため,Fitzpatrick分類scale Iの白人や白皮症患者では,紫外線発癌が多発する.しかし,予想に反して白斑患者においては紫外線発癌が少ないことが多くのコホート研究で明らかにされた.この総説では,白斑の表皮に備わった発癌回避機構につき,最近の論文をもとに仮説も含めて概説してみたい.