2022 年 132 巻 2 号 p. 279-286
隆起性皮膚線維肉腫は,局所で進行し転移はまれな良悪性中間群の腫瘍であるが切除が不十分であると後に高率に局所再発をきたす.しかし術前の画像検査で境界明瞭な病変で側方マージンを画一的に取るべきか判断に迷う症例もある.我々は画像所見で境界明瞭な隆起性皮膚線維肉腫患者の切除標本を用いて腫瘍の増殖パターンを検討した.画像所見で境界明瞭かつ辺縁が整な症例において,標本上で腫瘍の輪郭を越えた脂肪組織への浸潤は2 mm以内であり,条件に合う病変では比較的少ない側方マージンで断端陰性を達成できる可能性がある.