2022 年 132 巻 3 号 p. 473-478
皮膚適用製剤からの薬物の皮膚移行について,全身作用を目的とした経皮吸収型製剤の開発において培われた基礎理論から,外用剤の有効性に関連する皮膚中濃度と安全性に関係する全身暴露について考える.皮膚に適用された薬物は,分配により皮膚に移行し,さらに全身血流に取り込まれる.薬物の皮膚移行は,薬物の性質だけでなく,組み合わせる基剤によって大きく異なる.皮膚のバリア機能が低下していると,経皮吸収量が増大し,低い血中濃度で副作用を発現する薬物の広範囲への適用は要注意である.