日本皮膚科学会雑誌
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症例報告
小児多系統炎症性症候群の1例
奈良平 敦司佐藤 英嗣
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2023 年 133 巻 4 号 p. 683-687

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抄録

小児多系統炎症性症候群(multisystem inflammatory syndrome in children:MIS-C)は小児の新型コロナウイルスに感染後に重篤な循環器障害を呈する疾患である.11歳男児のSARS-Cov-2感染より3週間後に3日間以上持続する発熱と心機能障害があり,体幹・四肢には紅斑の出現がみられ血液検査所見と合わせてMIS-Cの診断であった.本症は高頻度で消化器症状と循環器症状を認め,川崎病との鑑別に有用である.また,MIS-Cに伴って出現する皮疹は紅斑丘疹型,紅斑型が多く,皮疹が出現した方が重篤になりにくい傾向にある.病理組織学的には表皮の異常角化細胞の出現と空胞変性がみられるが,血管炎や血栓の所見は認めないことが多い.

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