日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
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133 巻, 4 号
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新・皮膚科セミナリウム 毛髪疾患を極める:最近の進歩と展望
  • 福山 雅大
    2023 年 133 巻 4 号 p. 635-640
    発行日: 2023/04/20
    公開日: 2023/04/20
    ジャーナル 認証あり

    脱毛症は病態の主体が表皮下にあることが多く,正確に診断し病態を把握するためには適切なテクニックを用いる必要がある.つまり脱毛パターンを把握するのみならず,抜毛テスト,トリコスコピー,病理組織学的所見を総合的に評価することが日常の脱毛症診療において重要である.本稿では日常診療で特に遭遇頻度の高い円形脱毛症を中心に,脱毛症の鑑別および治療の最適化に有用な病態理解に基づく診断のアプローチについて概説する.

  • 伊藤 泰介
    2023 年 133 巻 4 号 p. 641-647
    発行日: 2023/04/20
    公開日: 2023/04/20
    ジャーナル 認証あり

    脱毛症は病態によって症状は様々であり,病態に沿った治療を行うことで改善や進行抑制が期待される.臨床症状,臨床経過,全身症状,ダーモスコピー所見,抜毛試験,牽引試験,病理所見,血液検査,家族歴などをもとに適切な診断を行い,病態,病勢に沿った治療選択を行いたい.本稿では円形脱毛症,男性型脱毛症,膿瘍性穿掘性頭部毛包周囲炎の治療の工夫を中心に最近の治療選択を含めて解説したい.

  • 天羽 康之
    2023 年 133 巻 4 号 p. 649-655
    発行日: 2023/04/20
    公開日: 2023/04/20
    ジャーナル 認証あり

    毛髪は毛周期に応じた生理的な脱毛と発毛を繰り返し,毛の密度を一定に保っている.毛周期を維持するためにそれぞれの毛包に毛包幹細胞が分布している.毛周期の生理的な周期に障害が生じ,毛が欠如しているか疎になった状態を脱毛症という.後天性に発症する脱毛症には,円形脱毛症や壮年性脱毛症のほか,内分泌異常,膠原病など様々な全身疾患に伴うものがあり,毛髪異常は全身状態を反映する重要な臨床症状である.毛包幹細胞は毛隆起の上部,毛脂腺付着部付近の神経終末部に分布していて,休止期から成長期に移行するのにしたがって,新しい外毛根鞘を形成し,毛包幹細胞の一部は毛母に移動して新しい毛包を形成する.薬剤性脱毛症,円形脱毛症,萎縮性脱毛症の毛包幹細胞から考えられる病態の解明と,近年の毛包幹細胞を用いた毛包や神経,心筋の再生医療に向けた研究について説明する.

  • 林 良太
    2023 年 133 巻 4 号 p. 657-665
    発行日: 2023/04/20
    公開日: 2023/04/20
    ジャーナル 認証あり

    遺伝性毛髪疾患は稀な疾患ではあるものの,常染色体潜性縮毛症/乏毛症など日本人において頻度の高い疾患も存在する.近年,多くの遺伝性毛髪疾患の原因遺伝子が同定され,今後も更に原因遺伝子が同定されることが予想される.一部の遺伝性毛髪疾患においては治療法が開発される可能性があることから,遺伝性毛髪疾患の臨床的特徴や原因遺伝子を理解することは重要である.

訂正
原著
症例報告
  • 奈良平 敦司, 佐藤 英嗣
    2023 年 133 巻 4 号 p. 683-687
    発行日: 2023/04/20
    公開日: 2023/04/20
    ジャーナル 認証あり

    小児多系統炎症性症候群(multisystem inflammatory syndrome in children:MIS-C)は小児の新型コロナウイルスに感染後に重篤な循環器障害を呈する疾患である.11歳男児のSARS-Cov-2感染より3週間後に3日間以上持続する発熱と心機能障害があり,体幹・四肢には紅斑の出現がみられ血液検査所見と合わせてMIS-Cの診断であった.本症は高頻度で消化器症状と循環器症状を認め,川崎病との鑑別に有用である.また,MIS-Cに伴って出現する皮疹は紅斑丘疹型,紅斑型が多く,皮疹が出現した方が重篤になりにくい傾向にある.病理組織学的には表皮の異常角化細胞の出現と空胞変性がみられるが,血管炎や血栓の所見は認めないことが多い.

学会抄録
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