2026 年 136 巻 10 号 p. 1771-1781
痒みを伝える神経は,皮膚から脊髄に突起を伸ばし,脊髄でニューロンとシナプスを形成している.その後,投射神経を介して,脳へと伝達され痒みが認識される.この経路のどこかに異常が生じると痒みが生じる.そのため,痒みは,皮膚疾患だけではなく,種々の全身疾患でも起こりうる.皮膚では,ケラチノサイト(KC)や神経と免疫の相互作用が重要である.皮膚科領域で痒みを生じる多くの病態では,ヒスタミンの関与は限定的であり,ヒスタミン以外の多くのメディエーターが関与している.サイトカイン,神経伝達物質,神経栄養因子などである.さらに,慢性の痒みを呈する状態では,痒みの感作が重要であり,そのメカニズムも末梢のみならず中枢でも解明されつつある.本稿では,適切な治療選択のために,痒みの分子機序を概説した.近年の研究から,痒みは,皮膚のみならず,脊髄や脳でも,制御されることが明らかになったため,末梢である皮膚のみならず,脊髄や脳も含めた痒みの伝達制御機構を述べる.