2026 年 136 巻 6 号 p. 1177-1182
発汗異常は,多汗・無汗といった量的異常のみならず,色汗やsticky palmにみられる性状変化,暑熱や運動時の皮膚感覚異常,さらには血管反応との関連など,きわめて多彩な臨床像を呈する.これらはしばしば自律神経障害,内分泌・代謝疾患,脊椎病変,皮膚疾患,薬剤,手術既往など身体内部の異常を反映しており,診断学的価値は高い.本総説では,筆者が経験した雑多な発汗異常症例を体系的に整理し,続発性多汗症・続発性無汗症,血管性発汗異常,そして比較的ニッチなsticky palmに至るまで,発汗評価がどのように鑑別診断の道筋を形づくるかを概説する.あわせて当施設で行っている発汗検査の実際と,症例ごとに診断へ至った臨床思考プロセスを提示し,日常診療で遭遇する発汗異常を理解する上で有用な視点を提供したい.