日本皮膚科学会雑誌
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先天性ポルフィリン症の1例
谷奥 喜平齋田 泰彦中山 創生浦田 郡平
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1958 年 68 巻 7 号 p. 450-

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抄録

ポルフィリン症はpyrrol代謝の異常により多量のporphyrin(以下Pと略)を尿中に排泄する稀な疾患である.先天性ポルフィリン症は1912年Hans Guntherが種痘様水疱症様疾患で,尿中に多量のPを排泄する患者を報告し,種痘様水疱症とは独立した疾患で,先天性ヘマトポルフィリン症の病名をつけたのが最初である.しかしそれより前1871年Hoppe-Seylerが始めてhematoporphyrinを発見してporphyrinは全部hematoporphyrinと思われていたが,その後Fisher及びSchumm等によりこのPはhematoporphyrinではなく,Uroporphyrin(Urop.)とCoproporhyrin(Coprop.)であることが判り,その病名もポルフィリン症と訂正された.その後本症についての症例は相踵いで報告され,本邦でも佐藤・高橋,遠山,北川,松岡,福代,太田,大岩,弓野,鈴木・田中,北川(照),岡元・下稲葉等の報告がある.此の症例は1952年に慈恵医科大学病院小兒科北川氏により,その臨床像並に尿所見についての詳細な報告をされたものと同一患者である.本症は生化学的にも甚だ興味あるもので戰後放射性同位元素の利用により,P代謝は急速に明らかにされつゝある.我々はその後の本症の臨床的所見並びに檢査成績を述べ,これに就ての2,3の文献的考察を行つたから・に報告する次第である.

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© 1958 日本皮膚科学会
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