日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
68 巻, 7 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 白取 昭, 高田 忠廣, 後藤 重郎
    1958 年 68 巻 7 号 p. 399-
    発行日: 1958年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    爪甲の着色は,種々の薬剤投与の際に見られるもの,一定の疾患に伴うもの,更には外傷その他の原因による出血によるものなどが挙げられるが,最も多いのはメラニンに因るものである.通常爪にはメラニン色素を欠くが,これはMelenocyteがMatrixに存在しないか,或は存在しても平常は色素の産生を営んでいないからである.從つて,時に,X線治療のあと,或は重症の指の皮膚炎にひきつゞきメラニン色素の横の帯状沈着がみられ,又M.S.H.の大量投与によつても同様の変化が見られることなどは,機能を営んでいないMelanocyteがMatrixにあつて,これが適当な刺戟をうけて機能が覚醒されたと考えられるのであり,例えばAddison病の場合の色素異常の一部として爪甲に色素沈着が来るのは,M.S.H.の増量がMatrixのinactiveなMelanocyteに働いた結果と説明される.他方,爪甲の縦のメラニン色素沈着帯は,原因の如何は別として,Matrixの一部に絶えずメラニンを形成しているMelanocyteのnestsがあつて,爪甲の発育と共に帯状の色素沈着を招来すると考えられる.從来本症は黒人ではよく見られ,normal pigmentationである(Monash)とさえ云われているが,これに反し白人では極めて稀で,これまでの報告は僅かに5例をかぞえるに過ぎない.本邦に於いては十指に余る報告が見られるが,比較的稀な状態と見做すものと,相当高率に見られるとするものがあり,一致していない.又その名称に就ても種々であるが,こゝではこの状態が一定の色素異常であるとの見解のもとに,小林,田崎等に做つて爪甲帯状色素沈着症と呼ぶことにしたい.我々は最近,親子同胞計4人に認められた本症々例を経験したので,症例を報告すると共に本症の発生率その他を調査した結果について検討して見たいと思う.
  • 椿 彌一
    1958 年 68 巻 7 号 p. 405-
    発行日: 1958年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    三浦,中島,水本,林等はさきに,難治な潜伏梅毒患者にP32を投與する場合,梅毒抗体價を動揺せしめるということを臨床的にも動物実驗的にも証した.私はこの作用機轉解明の1手段として,P32が細網内皮系に如何なる影響をおよぼすかを檢せんとして,Ca45を対照として以下の実驗を行つたので報告したい.
  • 小嶋 理一, 池田 重雄, 西田 尚史, 水岡 慶二
    1958 年 68 巻 7 号 p. 412-
    発行日: 1958年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    睾丸腫瘍の皮膚轉移は甚だ稀有なものであり,而も末期症状として極く稀にしか認められない爲に,皮膚科方面ではあまり取扱われていない様である.偶々我々は18才の男子の右睾丸に発生した類畸形腫が徐睾術後4ヵ月で皮膚を含む殆ど全身に主として血行性轉移を生じ,而も轉移巣は類畸形腫の1要素である絨毛上皮腫のみから成る稀有な症例を経驗し,之に2,3の檢索をなし得たので本邦文献例の統計的考察を兼ねて・に報告する.
  • 眞保 謙一
    1958 年 68 巻 7 号 p. 432-
    発行日: 1958年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    ケト酸は生体中に於て糖の中間代謝産物としてのみならず,アミノ酸からも酸化的脱アミノ作用によつて生成されることが知られている.更にこのケト酸とアミノ酸との間にTransaminationが行われケト酸に対應する新しいアミノ酸が形成されることが認められている.このようにケト酸は糖及びアミノ酸の共通の代謝産物で,アミノ酸と糖の橋渡しの役をしているものと思われる.このケト酸が微生物によりその培地中に生成されることは多くの研究者により認められている.Walker,Pearce and ChughtaiはAspergillus nigerにより葡萄糖を含む培地に焦性葡萄酸が生成されることを認め,更にWalker,Hall and HoptonはAspergillus nigerを亞砒酸を含む葡萄糖培地に培養し,焦性葡萄酸の他にDimethyl pyruvic acid及びα-ketoglutar酸を生ずることを認めた.同様にRamachandran and WalkerはAspergillus nigerのglycerolを含む培地中に焦性葡萄酸及びdimethyl pyruvic acidが生成されることを認めた.又葡萄糖からα-ketoglutar酸が生成されることを坂口等は麹菌について,朝井等はB. megatherum及びB. nattoについて認めた.更にColeman and NordはFusariumにより,Jacksonはproteus vulgarisにより夫々焦性葡萄酸が作られるとのべ,Ramachandran nad RadnnはAspergillus niger,A. terreus及A. oryzaeによつて葡萄糖からα-ketoglutar酸及び焦性葡萄酸が生成されることを認めた.更に最近Chattaway and ThompsonはMicrosporum andouinii,M. canis,Trichophyton rubrum,Ep. inguinale等の皮膚病原糸状菌により,その培地中に焦性葡萄酸及びα-ketoglutar酸が生成されることを認めた.このようにケト酸は種々の微生物によつて作られるが,著者もTrichophyton interdigitale,Trichophyton purpureum及びCandida albicansによりケト酸が生成されることを認めたので報告する.
  • 眞保 謙一
    1958 年 68 巻 7 号 p. 436-
    発行日: 1958年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    皮膚糸状菌症やモニリヤ症は難治の疾患であり,以前よりこれらの疾患の病原菌である皮膚糸状菌やCandida albicansについて種々の研究がなされて来たが,その大部分は菌の形態学的な研究や,菌種の分布状態についての研究であり,その発育,増殖に密接な関係のある物質代謝に関しては結核菌や酵母等の微生物に於ける程知られていない.又その治療には幾多の藥剤が使用されて来たが,その作用機序についてはあまり知られていない.著者は前報に於て皮膚糸状菌及びCand. alb.の菌体及び培地中の遊離アミノ酸とケト酸について報告したが,本報に於てはこの兩者間の相互移行を促進させるTransaminaseについてのべ,種々の抗糸状菌剤のこれらの糸状菌のTransaminaseに対する阻害作用について報告する.Transaminaseはアミノ酸のアミノ基を中間体としてアンモニヤを生成することなく,d-ケト酸に轉移させる酵素である.この酵素はBraunshtein及びKritsmannにより鳩の筋肉中に発見されて以来,生体中に於けるアミノ酸代謝に重要な役割を演じているものと考えられている.微生物中のTransaminaseについては,はじめDiczfulusyはE. coliその他の細菌にはこの酵素は存在しないと報告したが,Cohn等により種々の細菌中にもこのTransaminaseが存在し,その活性度は動物組織よりも高度であると発表して以来種々の微生物のTransaminaseについて報告されている.即ち細菌のTransaminaseとしてはFeldman and Gunsalus,Thorne,Robinson,Levinson,小林等,伊藤等,山波は夫々E. coli及びPseudomonas fluorescens,B. anthrasis,Pseudomonas salinaria,B. bronchiosepticus,B. megatherium及びParapertissis,鳥型結核菌,チブス菌のTransaminaseについて発表している.又真菌のTransaminaseとしてはFincham,Menzinsky,Gehring,吾孫子が夫々Neurospora crassa,Saccharomyces cervisiae,Saccharomyces fragilis,Cand. alb.のTransaminaseのについて報告している.他方このように種々の微生物中に存在することが認められ,そのアミノ酸代謝,菌体蛋白の合成に重要な役割を演じているTransaminaseの作用が,化学療法剤により阻害されることが知られている.米田等はイソニコチン酸アミドにより大腸菌,BCG,Diphtheria菌のTransaminaseの作用が阻止されることを認め,酒井はBCGのTrnsaminaseはイソニコチン酸ヒドラジドに阻止されるが耐性のある結核菌のTransaminaseはイソニコチン酸ヒドラジドにより阻害されないので,イソニコチン酸ヒドラジドの結核菌に対する作用機序としてこのTransaminaseに対する阻害作用をあげている.尚このTransaminaseの助酵素はビタミンB6群の1つであるPyridoxal phosphateであることがSnell等により認められ,ビタミンB6とアミノ酸代謝と密接な関係があることが知られている.
  • 川村 太郎, 西原 勝雄, 中島 啓雄, 土川 恵二郎, 仲井 信雄, 水本 龍二, 宮崎 逸夫, 中村 正道, 田尻 伸也, 寺田 稔, ...
    1958 年 68 巻 7 号 p. 443-
    発行日: 1958年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    最近本邦に於ける國民の平均寿命が著しく延長して来たことは各種の統計の示す所であり,誠に喜ばしい限りである.之は急性慢性の傳染病による死亡と乳兒死亡との減少に原因するものであるが,平均寿命の延長の結果高齢者の人口比率が増加し,從つて所謂老人病が漸く注目されるに至り,心臓血管病並びに癌は益々重要な疾患となつた.皮膚癌はもとより重要な皮膚疾患の1つである.元来,皮膚癌は医師乃至患者自身,その全経過を肉眼的に追求し得,またその臨牀経過と病理組織学的所見との対比研究もより容易であつて,斯くの如き利点を有するが故に,その研究は癌全般の知見を推進するに甚だ役立つものである.近時皮膚癌に対する紫外線の影響が強調されているが,皮膚は外的刺戟を受け易いという特殊な部位である丈けに,職業性その他の種々の刺戟の結果乃至は火傷,外傷の瘢痕から発癌することが少くない.從つて之等の事実は職業医学乃至豫防医学の上で重要である.この様な意味合いから,著者等は過去の病歴より得られた皮膚癌の症例に就き統計的観察を行つた.本統計は標記の如く,金沢大学付属病院皮膚科,同第1外科,同第2外科,富山縣立中央病院皮膚科,富山市民病院皮膚科及び農協高岡病院皮膚科に於ける過去何年か宛の症例の綜合によるものである.從つて本統計により北陸地方に於ける皮膚癌の動態を略々知ることが出来るものと思われる.皮膚癌の統計に関しては,本邦に於ても既に長與敎授,太田敎授等を始めとして幾つかの報告を見るが,以下著者等の成績をそれ等諸家のものと比較しつゝ述べることゝする.
  • 谷奥 喜平, 齋田 泰彦, 中山 創生, 浦田 郡平
    1958 年 68 巻 7 号 p. 450-
    発行日: 1958年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    ポルフィリン症はpyrrol代謝の異常により多量のporphyrin(以下Pと略)を尿中に排泄する稀な疾患である.先天性ポルフィリン症は1912年Hans Guntherが種痘様水疱症様疾患で,尿中に多量のPを排泄する患者を報告し,種痘様水疱症とは独立した疾患で,先天性ヘマトポルフィリン症の病名をつけたのが最初である.しかしそれより前1871年Hoppe-Seylerが始めてhematoporphyrinを発見してporphyrinは全部hematoporphyrinと思われていたが,その後Fisher及びSchumm等によりこのPはhematoporphyrinではなく,Uroporphyrin(Urop.)とCoproporhyrin(Coprop.)であることが判り,その病名もポルフィリン症と訂正された.その後本症についての症例は相踵いで報告され,本邦でも佐藤・高橋,遠山,北川,松岡,福代,太田,大岩,弓野,鈴木・田中,北川(照),岡元・下稲葉等の報告がある.此の症例は1952年に慈恵医科大学病院小兒科北川氏により,その臨床像並に尿所見についての詳細な報告をされたものと同一患者である.本症は生化学的にも甚だ興味あるもので戰後放射性同位元素の利用により,P代謝は急速に明らかにされつゝある.我々はその後の本症の臨床的所見並びに檢査成績を述べ,これに就ての2,3の文献的考察を行つたから・に報告する次第である.
  • 1958 年 68 巻 7 号 p. 461-
    発行日: 1958年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
  • 1958 年 68 巻 7 号 p. 73e-
    発行日: 1958年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
feedback
Top