日本皮膚科学会雑誌
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重金属のメラニン形成抑性作用に就て
出川 智久
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1961 年 71 巻 6 号 p. 651-

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抄録
メラニンmelaninは人間を含めて哺乳動物の皮膚及び毛髪をして夫々の固有の色調,即ち皮膚色,毛髪色を呈せしめる主な物質であるが,今日このものは生化学的にはtyrosine或はorthodihydroxyphenyl復合体の酸化物と略々決定されている.このメラニン形成理論が今日まで歴史的に推移し来つた概略を述べると,Blochは皮膚組織片をDihydroxyphenylalanine,即ちドーパDopa溶液に浸漬すると一定の細胞,即ち今日の呼稱で所謂melanocyteが黒変する現象を発見し,メラニン形成にmelanocyteの有する酵素が擔う重大な役割りを指摘した.彼はこの現象,即ち皮膚組織の呈するドーパ反應の陽性度が同組織のメラニン形成能と密接に関連することを認め,又皮膚切片を煮沸するか,又はこれに酵素毒としてSH2,SO2,KCI等を添加すると,ドーパ反應が陰轉することを知つた.そしてBlochはメラニンを以てドーパが酵素によって酸化されて生ずる物質とし,皮膚の色素形成細胞,即ち今日のmelanocyteに存在してこのメラニン形成に與かる酵素をドーパオキシダーゼDopaoxydaseと呼んだ.
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© 1961 日本皮膚科学会
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