抄録
種痘の併発症は1796年Jennerの種痘法発見以来認められているが,種痘後に牛痘ヴィールスに対する特異性免疫抗体を全く形成しえず,種痘部皮疹の進行性拡大を来し,同時に他側の腕並びに残りの体部にも壊死性皮疹を発生し,死の転帰をとる併発症は極めて稀である.1955年Kempe及びBenensonはかかる併発症に対して進行性牛痘疹なる語をつくり,1957年Lewis及びJohnsonは進行性牛痘疹を無γ-グロブリン血症性と不全γ-グロブリン血症性の2種類に分類した.著者らは最近不全γ-グロブリン血症性進行性牛痘疹と考えられる症例を経験したので報告する.