抄録
皮膚組織の解剖学,生理学及び生化学的研究は近年盛んに行われ多くの新知見が得られているが,皮膚疾患の病因の多くは依然不明であり,その帰属,分類も明らかでないままに形態学的分類が行われている現状である.各種の検査成績が形態学的分類に応じた特異的な結果を与える事は一部の場合に限られている.この様な現況から我々は皮膚疾患に於ける全身反応を検討し,皮膚に行われる病的過程の全身に及ぼす影響を検討せんとした.その方法としては近年広く臨床的応用を見ている血清CRP反応,及び之と同様にその意義が注目されつつある血清シアリン酸(以下SAと略記する)の両者をえらび,之に全身変化の指標として多年賞用されている赤血球沈降速度,白血球数及び血清蛋白分劃の測定をあわせ行つた.もとより之等の反応はすべて一定の疾患に特異的な成績を与えるものとは期待出来ないが,皮膚疾患に伴う消長は多少共興味ある知見を与える事が予想される.