日本皮膚科学会雑誌
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72 巻 , 1 号
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  • 小野 清一郎
    1962 年 72 巻 1 号 p. 1-
    発行日: 1962年
    公開日: 2014/08/29
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    副腎皮質ホルモンは,その全身的投与が各種皮膚疾患に所謂morbidistaticな効果を有する以外,皮膚科に於けるその使用の特色として局所療法にも応用されている.即ちハイドロコーチゾン,プレドニソロン等を膏薬基剤に加えたものの塗擦,貼付,又これ等の懸濁液の皮内注射が湿疹類,その他の皮膚病変に効果あることが知られるに至り,今日では局所治療剤としても盛んに使用されるようになつた.著者は・に,副腎皮質ホルモンの膏薬形式を以てする局所投与が各種の皮膚機能に及ぼす影響を,一定の方法でハイドロコーチゾン加吸水軟膏を貼付した皮膚部位た行つた各種機能的皮膚反応の成績から検索することに依り,本ホルモンの皮膚病変に対する局所治療作用の機序を窺はんとした次第である.
  • 加納 魁一郎, 佐々田 健四郎, 筧 秀夫, 野崎 憲久, 小野 猛夫, 森 弘文, 井沢 洋平, 上田 宏, 滝上 明良, 朝日 円
    1962 年 72 巻 1 号 p. 14-
    発行日: 1962年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    女子顔面黒皮症は野間,皆見(省)等がRihel黒皮症の軽症たる―独立疾患として呼称したもので,今次大戦末期頃より本邦に於て主として女子の顔面に紫色乃至紫褐色の色素沈着及び毛嚢角化を主微とする病変が多数認められるようになり多くの研究者の注目を浴びるに至つた.元来Rihel黒皮症は1917年Rihelが報告して以来,Hoffmann-HabermannのMelanodermitis toxicalichenoides et bullosa,Fabry-ObermannのLichen pigmentosus,CivatteのPoikilodermie reticulee pigmentaire du visage et du couの3症の間にその異同をめぐつて盛に論議されたが未だ判然たる結論は得られていない様である.本症は第一次世界大戦後に端を発して増加し第二次大戦後に於ても同様の発生をみているので戦争黒皮症なる別名が与えられているが,本邦に於ては昭和8年村田が,次で昭和18年和田がRiehl黒皮症の名称の下に報告して以来その特異とする症状或は治療其他を中心として記述した報告例が陸続として相次ぎ,病因的立場に於ても多様の見解が試みられてはいるが今日尚十分に解明されたとは云えない.この点に関しては勿論単一な原因によつてかかる症状を惹起するものとは思われず種々の原因と考えられる内因,外因が相錯綜して発症するのであろうが,内因といい外因というも各個々の因子に複雑性があり先天性素因の上にかゝる因子が相重なり相組合わさつて成立するものであろう.今回我々は約1年前より当科を訪れた顔面黒皮症患者について臨床的見地より遊走腎合併に関する問題,副腎皮質に関する組織学的変化並びに機能的な検査成績,化粧品等に関する過敏性の問題等に主眼を置き,一応本症成立に密接な関連を有すると思われる項目についていささか考察を試み併せて治療方法にも触れてみたいと思う.
  • 下田 千之
    1962 年 72 巻 1 号 p. 27-
    発行日: 1962年
    公開日: 2014/08/29
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    皮膚組織の解剖学,生理学及び生化学的研究は近年盛んに行われ多くの新知見が得られているが,皮膚疾患の病因の多くは依然不明であり,その帰属,分類も明らかでないままに形態学的分類が行われている現状である.各種の検査成績が形態学的分類に応じた特異的な結果を与える事は一部の場合に限られている.この様な現況から我々は皮膚疾患に於ける全身反応を検討し,皮膚に行われる病的過程の全身に及ぼす影響を検討せんとした.その方法としては近年広く臨床的応用を見ている血清CRP反応,及び之と同様にその意義が注目されつつある血清シアリン酸(以下SAと略記する)の両者をえらび,之に全身変化の指標として多年賞用されている赤血球沈降速度,白血球数及び血清蛋白分劃の測定をあわせ行つた.もとより之等の反応はすべて一定の疾患に特異的な成績を与えるものとは期待出来ないが,皮膚疾患に伴う消長は多少共興味ある知見を与える事が予想される.
  • 中内 洋一, 水野 信行
    1962 年 72 巻 1 号 p. 42-
    発行日: 1962年
    公開日: 2014/08/29
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    内臓惡性腫瘍が之に伴う皮膚病変によつてはじめて発見される場合の,即ち腫瘍症状に先立つて,之を疑わしぬるに足る皮膚病変の現われることの必ずしも稀でないことは,諸家も記載する所である.此のような場合屡々,内臓惡性腫瘍が根治不能の域に達して居るから,“皮膚病変拠る惡性腫瘍発見”の意義は左程大きくないとも看倣されるかも知れない.然しながらRothmanはその第2例に就いて「若し我々が斯かる皮膚変化が腹部腫瘍との関連に於て生じうるということを知つて居たら……,患者を助ける事は出来なくても,姑息的手術に依つて,目的に適うように治療することが出来たろうに……」と,死の直前まで腫瘍の診断がつかずに死んだ患者の苦痛を救い得なかつたことに遺憾の意を表して居る.たとえ根治手術は不能であつても,手術,放射線,抗癌剤などに依つて癌患者を苦痛から救い,延命を策する道の拓けた今日,内臓惡性腫瘍に伴う皮膚病変を知る事の意義は少しとしない.内臓惡性腫瘍に伴う皮膚病変は近時諸家に依つて注目され,本邦に於ても,上野の黒色表皮腫に関する,また古谷の皮膚筋炎と惡性腫瘍との関係に関する詳細な記載がある.内臓惡性腫瘍の皮膚転移に関しては北村教授他の記載もあるが,之に結節状を呈するものの他,紅斑を主徴とするものがあつて,夙に丹毒様癌腫(Carcinoma erysipelatodes)の名で知られている.近時中村はその1例を報告,また肉腫転移に因つて之と同様の所見を呈するものに就いての吉田の報告がある.著者等の例は,瘙の著しい丘疹紅斑性皮疹を主訴として来院したものであつて,観察中顔面,上肢の浮腫,呼吸困難等を訴え,同時に腹壁に静脈怒脹の見られたことに依つて縦隔洞腫瘍を疑い,レ線検査に依つて肺の原発性惡性腫瘍及び縦隔洞腫瘍の存在を知つたものである.内臓惡性腫瘍に見られる転移以外の皮膚病変については夙にCarriere(1896)の記載する所であるが,綜説的記載は,蓋しRothman(1925)が自家症例3例の記載と共に行つたものを嚆矢とする.そして今日までに数十例の報告がある.Rothmanは之を4範疇に分類し,その1として「中毒性滲出性症状を呈するもの」を置いているが,著者等の例は之に属するものである.近時中村等(1955)は子宮癌の放射線療法中,一過性ではあるが全身に発生する一連の皮膚病変が可成り多く見られることに注意,その22例を蒐集,またそれ等とは別に全身に持久性蕁麻疹様の極めて難治の皮疹が子宮癌の経過中に発生,その剔除によつて急速に改善したものを診,それ等につき詳細に記載して居る.
  • 高橋 伸也
    1962 年 72 巻 1 号 p. 50-
    発行日: 1962年
    公開日: 2014/08/29
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    猩紅色菌は,わが国における汗疱状白癬,頑癬,斑状小水疱状白癬,爪白癬の主要病原菌である.この菌は,1910年にCastellaniおよびBangによつて各々独立的に初めて記載され,夫々Epidermophyton rubrumおよびTrichophyton purpureumと呼ばれたが,わが国においては,1922年に太田がその存在を最初に確定した.CastellaniおよびBangの記載した集落形態を要約すると「猩紅色菌のSabouraud葡萄糖寒天培養は,中心部においては白色絨毛よりなる瘤様突起または岩穴状の陥凹を呈し,その周辺部においては放射状の皺襞を示して表面に粉末を混じ,その基底部においては深紅色あるいは菫色調を帯びた紅色に着色してかつ培地内に紅色色素の拡散を生ずる」とある.更に彼等は顕微鏡的所見として,西洋梨状の単純性および葡萄状の小分生子の発生および紡錘状の大分生子の形成を本菌の特長として記述した.太田は,小分生子を粉末状胞子Aleurieと称し,大分生子を紡錘状胞子と呼んで同様の記載を行つた.かかる記載のみを基準とすれば,猩紅色菌の肉眼的および顕微鏡的形態の特長は極めて劃然としており,本菌の同定は必ずしも困難とはいい得ないようである.しかしながら,その後の研究者の間には本菌の同定を行うに際して,集落の性状,着色状態,分生子の有無などの形態的所見が,Castellani,Bang,太田等の記載によるものと僅かでも異なれば,その菌を変種あるいは新種と看做す傾向が強く,かくして猩紅色菌と同定さるべき菌がその変種乃至新種として本邦および欧米において多数報告され,その収拾に困難を来すに立ち到つたのである.1930年に橋本等は,猩紅色菌あるいはその変種として報告された菌株について吟味を行い,Castellani,Bangの謂う猩紅色菌に属せしめるべきか否かを検討した.更に,1933年には太田,川連は猩紅色菌およびその変種に関する分類を発表し,ここに猩紅色菌の形態学的概念に一応の整理を与えたのである.しかるに,一般に皮膚糸状菌における形態的所見は,菌の継代培養を繰返すうちに次第に変化を来し,菌にとつて形態的性質は必ずしも不変的,固定的ではないことが明らかとなつた.1930年LangeronおよびMilochevitchは,小麦,大麦,燕麦,玉黍蜀のwhole grainより作つた“natural media of polysaccharide base”にTrichophytonを培養することによつて,Sabouraud培地においては形成を欠いた大・小分生子,ラセン器官の発生を認め,HazenはMicrosporum audouiniが常用培地においては大分生子を殆ど発生しないのに拘らず,蜂蜜寒天に酵母抽出液を添加した培地においてはそれを常に形成するのを認め,更にBenhamはheart infusion_tryptose agarが猩紅色菌の大分生子形成を著しく促進する性質を有することを証した.これらの事実に緒を発して,菌の形態に影響を及ぼすかゝる物質が如何なるも
  • 川村 太郎, 森岡 貞雄, 久木田 淳, 川田 陽弘, 谷口 馨
    1962 年 72 巻 1 号 p. 67-
    発行日: 1962年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
  • 出村 光一, 浜松 輝美
    1962 年 72 巻 1 号 p. 81-
    発行日: 1962年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    脂肪腫は脂肪組織の良性の腫瘍であつて,脂肪細胞を構成の主要素とするが,その他に血管系要素及び結合織性成分も種々の割合に於てその構成に与つている.血管系要素の増殖が特に著明に認められる場合,これをangiolipoma,lipoma telangiectaticum等と呼んでいる.これまで脂肪腫に於ける血管系の態度については,余り諸家の注目を惹かなかつたものの如くangiolipomaに関する報告は少ない.しかし乍ら本症は,必ずしも稀なものではない様にも思われ,また屡々単に脂肪腫或いは線維脂肪腫として診断されている場合もある様に思われる.著者等は最近本症と思われる1例を経験したので,ここに報告し,同時に若干の文献的考察を加えてみたい.
  • 竹内 勝, 今井 利一, 麻生 和雄, 岡本 昭二, 小林 健正, 内海 滉, 斉藤 恭一, 竹内 達, 斉藤 総明, 米沢 照夫, 宮里 ...
    1962 年 72 巻 1 号 p. 89-
    発行日: 1962年
    公開日: 2014/08/29
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    円形脱毛症(惡性円形脱毛症を含む)は皮膚科領域において,かなり重要な部門を占める1疾患であるが,その病因,ひいては治療の問題に関して,尚多くの未解決の諸点を残している.即ち,古く伝染説に始まる病因論は,爾後植物神経機能異常,新陳代謝障害,病巣感染アレルギー,内分泌障害,精神因子の介入,あるいはこれら諸因子の総和による症候群説などを考えるものがあるが,いづれも個々の症例に認められた事象を基盤とするもので,全症例に共通の病因は未だ明確ではない.従つて本症の治療もこれらの諸説の1~2にもとづいた治療法を専ら経験的に,或は慣習的に適用しているに過ぎないのが現状と思われる.更に,本症にとゞまらず,原因不明の疾患に対する薬剤治療の効果の判定,あるいは各種治療法の優劣の比較は常に慎重な検討を要し,得られた2,3の成績から結論を推定することは極めて危険な飛躍と言わざるを得ない.況んや,本症の如くその経過中に屡々症状の軽重とは無関係に自然治癒を営む疾患では,その発毛成果,あるいは予後を以て直ちに治療効果と断定する訳にはゆかない.従つて治療効果の判定には,症例の累積と,治効症例の採択に可及的に自然治癒を除外し得る如き一定の基準をおいて,その効果判定誤差を最少限度にとどめることが良策と考える.以下,我々は我教室において得られた各成績について記載し聊かの考按を試みたいと思う.
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